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松本創『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』(新潮文庫、2021) [本と雑誌]

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敵味方とか、悪者対正義の味方とか、善悪二元論でしか世の中を見られない人は少なからず見かけるのだけど、そういう人にとって、この本はつまらないことだろう。
しかし、そういう構図を使わずに話をつめていこうとすると、敵味方じゃないだけに話は一直線には進まず、三歩進んで二歩後退するみたいな経過をたどるし、メデタシメデタシにはならないし、同一人物の発言のなかにもさまざまな矛盾が現れたりするので、読み手にもそれなりの我慢が要求される。そこに本書の価値があるように思う。

また本書では、何人かの重要人物について聞き書きをしており、この聞き書きが重要だと思う。特に、この会社の「天皇」とも評される人物の談話は、他に2人の記者が同席している場での話なので信憑性が高く、従って資料的価値という点でも本書には意味があると思う。


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