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第174回深夜句会(11/10) [俳句]

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(選句用紙から)

黄葉して国道チェーン着脱所

国道沿いの景色で、それが黄葉しているという句はいくらでもあると思うけど、その国道にチェーン着脱所があるとしたら、にわかに場所が特定される。山の麓とか、雪国で高速道路を下りたところとか、まあそんなところだろう。いまはまだ車がいない、がらんとして広大な着脱所だが、黄葉から程なくして雪が降りしきり、多くの車が入れ替わりにやってくるようになる。詠み手はこれからやってくる冬を思い、隠れた季題は「冬近し」なのだろう。


幼稚園バス待つ母ら鰯雲

鰯雲は、これから天気が崩れることの直接的な表現なのだろうか、藤田湘子流の、思わせぶりな何か(句意を一度切って、関係ない季題として鰯雲が出てくるというあれ)なのだろうか。
それはどちらでもいいのだけど、「ら」がどうにも…


けふ最後の光集めて芒立つ

今日最後の何々、という言い方はよくあるけど、その対象が芒であるところに、秋の夕方の光線というか日の当たり具合をわかりやすく表せているのでは。


(句帳から)

数日で更地となりぬ冬隣
ぎうぎうに押し合ひながら枇杷の花

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2022年 第1回かんさいエクストリームウォーク100 参加の記録 [ウォーキング]

ぼんやりしているうちに「びわ100」が満員になってしまい、残念…と思っていたところ、姫路から大阪まで歩く大会がある(初開催)という。コースの大半が幹線道路なのが残念だが、他に同様の大会がないので申し込む。

10月17日(月)
ドキドキしながら週間予報を見ると、まずまずの天気、かつ朝の最低気温も14度から18度と極楽。これなら装備はかなり軽くできそう。コース上に無数のコンビニがあるはずなので、今回は食べ物を一切携行しないことにする。飲み物だけはソフトフラスクを持参して常時補給をめざす。

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10月21日(金)
新快速で姫路まで移動。姫路の駅で下りるのは40年ぶりぐらいだろうか。北口も南口もまったく記憶がないが、駅も駅前も新しいビルになってしまっているので、たとえ記憶があったとしても一致しないだろうと思われる。駅ビルで大盛パスタをいただき、早めに就寝。

10月22日(土)
雲が多いが上天気。気温高い。
駅からスタート地点へ向かう途中、すでに歩いている先発組(出発順にA組~D組)の参加者の列とすれちがう。他の大会よりも若い人やカップルが多い印象。これから出発するわれらE組は100人ぐらいしかいない(推定)ので、広場の芝生はのんびりした雰囲気。

9時33分にスタート。いきなり信号待ち。100キロメートルのあいだに何回信号待ちをくらうのかと思うと気分が暗くなる。信号の先で、いつもびわ100でお目にかかる、「全員完歩」の幟を立てた応援の方が手を振ってくださる。どこからおいでになるのだろうか。犬も元気そう。市街地を歩くのだけど、前後の参加者の会話がにぎやかで、女性2人組のボルテージが特に高い。このあたりが関西なのか。

きょうは暑い。10キロすぎでソフトフラスクが空になり、第1CP手前でコンビニに駆け込んで補充。歩きながら充填するのが上手になってきた(何の役にも立たない技量)。ついでにゼリーを2つ。冷たい食感が心地よい。

第1CP(18キロ):チョコ&クリームパンをありがたくいただき、食べながらすぐ出発。境内にはAからD各組の参加者がおおぜい休憩中。道路に戻ったところで山と道のMINIを背負っている参加者を見かける。ちなみにショートパンツも山と道のLight 5-Pocket Shortsだったので、山と道ファンなのだろうか。

東二見(27.2キロ):ついに海岸線に出る。さっきから曇り空なのでまぶしさは感じない。眺めがよく平坦なだけでなく、信号がないのでとても歩きやすい。こんなところだけを100キロ歩けたら理想だけど。

第2CP(40キロ):明石公園のカフェでトマトカレーをいただく。油脂が少なく酸味があるので、歩行中の人間にとっては食べやすくかつおいしい。日没のころ再スタート。

スタバ(43.9キロ):ガソリンを補給。さいわい誰も並んでいないので最小限のタイムロスで済む。

舞子公園(45.7キロ):明石大橋の真下。構造物が巨大すぎて、まったく実感が湧かない。それにしてもすごい人出で、広場では大道芸のようなことをやっている。ここに集っている人にとっては、大会参加者は奇妙な闖入者に見えることだろう。

塩屋駅(50.2キロ):全行程の半分に達したとたん、心の中でカウントダウンが始まる。あと49キロ、あと48キロ…と数字が減ることだけが楽しみになる。

須磨駅(53.9キロ):かつて六甲全縦の前日に駅前の旅館に滞在して、駅前のベーカリーショップでおいしいホットドッグを食べたけど、店の名前が思い出せないなあ…と思いながら歩いていると、国道がJRをまたぐ地点で、なんと踏切に誘導される。複々線の踏切!!休日とはいえ、なかなか遮断機が開かない(平日のこの時間ならもっと大変だったはず…)。初めから「5分後」とか「10分後」とわかっていれば大したことないのだけど、いつ開くかわからずに待つのはとてもつらい。

CP3(63.7キロ):いろいろなおかずパンがあるのだけど、どれをいただけばよいか決められない(判断力が低下している)。ようやくカレーパンをいただき、熱いみそ汁といっしょに味わう。ソックスを交換し、あと36キロあまり…

三宮東交差点(64.8キロ):LEDのランタンをポールに提げて歩いている参加者がいて、これはスマートと感心する。市街地の国道(の歩道)を歩いているからヘッドランプや懐中電灯で足元を照らす必要はなく、むしろランタンのようなあかりで自動車に存在を知らせる方が重要なわけで、気が利いた選択だなと思う。
第3CP以降、歩いても歩いてもすぐ信号で止められてしまい、全然ペースが上がらない。うんざりする。

阪神西灘駅前(67.9キロ):券売機にも改札にも人がいないが、時刻はちょうど23時半、おそらく終電ギリギリの時間だろう。電車に乗れば梅田まで帰れるか…と考える。その先も駅で下りた人がときどき歩いてきて、きょうは平和な土曜日の夜であることが思い出される。あと三分の一。


東灘区役所(72.2キロ):赤信号で立ったまま待つことがつらくなってきた。花壇のへりでも何でもいいので座ることにする。足腰も苦しいのだけど、尾籠な話だが「げっぷ」が出そうで出ないのが苦しい。大食いをしたわけでもないのに胃袋に空気がこみ上げてきて、しかしなぜか外に出ないのが大層気持悪い。努力の末にようやく出るといったん楽になるが、ほどなくまたこみ上げてくる。これは何の症状なのだろう…

第4CP(77.1キロ):小さな公園で、スペースがないので参加者同士譲り合って休憩。いつの間にか神戸市から芦屋市に入っている。おにぎりを1個いただくが、もう食欲がない。足の指が痛むのでいったん靴をぬぎ、しばらく冷やしてから出発。

武庫大橋(82.9キロ):それまでぽつぽつ降るだけだったのに、突然の大雨が襲来。運が悪いことに橋の上に出てしまっていて、逃げ込む場所がない。ほんの3分前まではマンションやオフィスが立ち並ぶ中を歩いていたのに、なんという不運。ようやく橋を渡り切って最初の建物の軒先に逃げ込むが、舗装に跳ね返る雨粒が白いしぶきをあげている。雨具がわりの上着をかぶって道に戻ったとたんに雨がやむ。

第5CP(89.9キロ):もう何も食べたくない(第4CPでもらったおにぎりを、まだ持っている)が、粉末のお茶をお湯で溶いていただく。ことのほかおいしい。早々に出発し、すぐに神崎川を渡る。右手に電車の音がして、鉄橋を渡る阪神電車の灯火が見える。始発電車だろうか。空の一角が明るくなりはじめる。

淀川大橋(92.1キロ):淀川を歩いて渡るのは初めてだが、たいへん大きな川で、しかも川幅いっぱいに流れているので不気味な感じが漂う。左から右へ吹きつける風が冷たい。こんな早朝にもかかわらず、ランニングの人や、ジャージ姿で登校途中とおぼしき高校生(自転車)とすれ違う。この橋を毎日渡って学校に通うとしたら、真夏や真冬や雨の日は相当つらいだろうが、一生持続する根性を身につけることができるのではないかと。

阿波座駅(95.0キロ):あと5キロ。頭の中で計算してみると、もしかしたら午前7時30分までに(=22時間以内に)ゴールできるかもしれない気がしてきた。しかし相変わらずの信号待ちでペースが上がらない。

馬場町(98.2キロ):大阪城が見えてきた。空は青空。雨と汗で全身べたついて気持悪い。この先コースはお濠に沿っていくので信号はあまりなさそう。残された全力でスパートする。スパートといっても11分台しか出ないのだけど…
城の北側を大きく回り込み、ビジネスパーク側の新鴫野橋から大阪城公園に突入する。しかし公園の少年野球場の利用者?管理者?が歩道にホースで水をぶちまけている。次々に歩いてくる参加者に注意を払っているようには見えず、仕方なく道の反対側に大回りしている参加者もいるのだが、おかしな話で、はるばる99.9キロ歩いてきて、しかも公道を歩いているのに、どうして少年野球さまの水撒きに遠慮しなければならないのだろう。構わず歩道を直進し、ホールの角を左に曲がったところでゴール。突然ゴールが目の前に現れるので、心の準備ができないのはちょっと残念。

ゴールのあとはお約束のように貧血。冷汗が出て文字通りぶっ倒れ、しばらく横になってようやく回復。最後に申し訳程度にスパートしてみみっちく22時間を切ったごほうびに紙片をいただく。

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(感想)
東二見から須磨までの景色はすばらしいのだけど、第3CP(三ノ宮)以東のコースが面白くない上、信号待ちがつらい。びわ100やしおや100では考えもしなかった「信号待ちや踏切待ちの時間を差し引いたら」というしょうもないことをつい考えてしまう。歩行者にとって、姫路城とか大阪城といったキャッチ―なものには大した価値が感じられないわけで、姫路よりもっと西からスタートして、三ノ宮をゴールにするようなコース設定はできないものだろうか…

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第173回深夜句会(10/13) [俳句]

10月になっても暑く、かつ雨が降っている。
それでも、できるときには対面で句会がやりたい。

(選句用紙から)

肌寒の首にひやんとネックレス

季題「肌寒」で秋。ひやんと、が眼目だが、実は不要なのかも。「肌寒の首にネックレス」だけでも句意は通じるし、さらにいえばネックレスなので首は当然だとすると、肌寒、ネックレスだけでもいいことになる。とはいえ、ネックレスの冷たい触感を「普通に」述べているようで独自の表現になっている。

隣人の鼾も止みて虫の夜に

季題「虫」「虫の夜」で秋。隣人、って家庭の中の隣室(子供部屋?)か、文字通り隣人たとえば木賃アパートのような場所で、隣のいびきが響いているのでは。で、何かのはずみでそのいびきが止まると、あたりの虫の声が聞こえてくる。静かな住宅街であることが一句の前提。

虫の夜の洗濯物の生乾き

これは、本当に生乾きなのか、それとも、昼間乾いたのが夜になって冷たくなったのか、そのあたりがちょっと。少なくともまあ、帰宅が遅くなったことはわかるのだけど。


(句帳から)

午後からの予報通りの秋の雨

 
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