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第151回深夜句会(12/10) [俳句]

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(スタバで句会を開いているわけではありません)

対面の句会を再開どころか、都道府県の医療機関の状況を心配しなければならない事態になってきた。しばらくの間、せめて急病と交通事故に遭わないようにしないと…ってそんな都合よくいくはずもないのだけど。

(選句用紙から)

着ぶくれてゐる日曜日の先生

季題「着ぶくれ」で冬。日曜日の街角でばったり出会った先生は、学校で見慣れているスーツ姿(ジ
ャージ姿か?)とはうって変わって、セーターの上からもこもこのダウンジャケットを羽織って、ずい ぶんと嵩が増して見えた。直接そのように書かれていなくても、詠み手は「日曜日の先生」にどことな く親愛の情を感じていることが伝わってきて、そこがいい。

山茶花や公園に住み憩ふ人

季題「山茶花」で冬。公園を住処としている人やひとときくつろぐ人、そのさまざまな人たちの間
に、山茶花が咲いては落ち咲いては落ちしている。ずっと同じ形のままに咲き続ける花でなく、どこと なくルーズに、とめどなく咲いたり散ったりする山茶花の様子が、そこにいる人たちの動きになんとな く通じるように感じられて効果をあげている。

小春日や大樹伐られし鋸のあと

季題「小春」で冬。森の奥でもいいし、公園や街路樹など人通りの多いところでもいい。そこに植え
られていた巨木が、何かの理由で伐られたのだけど、なにしろ大きな木なので、途中でチェーンソーの 角度が変わったりして、断面が平滑になっていない。その「鋸のあと」が、何百年もそこにあった大樹 の跡としていかにも痛々しく、またそれが、近づいてくる真冬の寒さとあいまって、いっそう切なく感 じられる。

自動車は小さし冬の雲映り

よく晴れた日だと光が強くてよく見えないのだけど、曇りがちの日などは、自動車のフロントガラスやリアガラスに空や雲の様子が映っているのがよく見える。そのときに、空や雲が「小さく」映ってい ると感じられそうなものだけど、作者は「映っている雲や空に比べて、映しだしているこの車は小さい なあ」と感じたという。そこに静かなあじわいがある。

(句帳から)

川底のかたちのままに水涸れる
暮早し同じかたちの家の列
北風に境内の幡(はた)一斉に
枯萩のままに生産緑地かな
森の奥に小さな冬野ありにけり
冬籠芋づる式に辞書ひいて
外套の千鳥格子のやはらかに



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『ザ・プロフェッサー』(ロバート・ベイリー/吉野弘人訳、小学館文庫、2019) [本と雑誌]

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アラバマ州がどんなところか知っていればいっそう楽しめたのかもしれないが、いや、知識皆無に近い自分でも十分楽しめた。小説とはいえ、こういうストーリーってありうるのですね。最後の20ページぐらいは、どうにも止まらない緊迫感とカタルシス。

しいて残念な点をあげれば、悪党がわかりやすすぎる悪党(どこからどう見ても悪党)であるところと、人が死にすぎるところか。

作者はこれがデビュー作だというのも驚き。ぜひ2作目以降も読まないと。明日本屋さんに注文してきます。

 

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