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第185回深夜句会(10/12) [俳句]

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秋らしい秋の日、とわざわざ言わなければならないほど、このところ夏から冬へ一直線に毎日気温が下降していくのはどうしたことか。

(選句用紙から)

抜かれたる案山子の空を見上げたる

季題「案山子」で秋。稲刈りを前に抜かれた案山子が地面に放り出されて横になっているのだけど、その顔が空を見上げているようだ。もともと人間に似せて作ってあるので、横になってもそうであるはずだが、これが横倒しになると、まったくそうは見えないというか、「放心状態の案山子」とでもいうべき物体になってしまう不思議。

パン焼けてミルクホールの秋灯

ミルクホール、いいですね。京都大学の門の前にある駸々堂(だったっけ?)などが想像されるのだけど、クラシックな、大きな木のテーブルがあるようなミルクホールに、朝から晩まで学生や社会人が入れ替わり立ち代わり座っている。日が傾いてきてあかりが灯るころになっても、遅くまで食事をする利用者のためだろうか、パンを焼き続けているのですね。夏のあいだはうっとうしかったそれらの温かいものが、気温が下がると急にいとおしく感じられる。一年中パンを焼き続けているし、一年中あかりはともっているのだけど、この季節のこの場所は格別だ、ということがすとんと腑に落ちる。

空の底ゆらしてむくの群うねり

季題「椋鳥」で秋。最近しばしば話題になるむくどり大群を描いているのだけど、「空の底」が眼目。「雲の底」という言葉はある(たぶん気象用語だろう)けど、空に底があるかのように、一面に広がって飛んでいる、と解するのだろう。それほど数が多い、ということ。で、そのあとに「群うねり」で波のように群れがうねっているというのだけど、「雲の底」でもうお腹いっぱいなので、そこまで言わなくても十分なのではないかと。

(句帳から)

一人づつパソコン閉ぢてゆく夜業


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