第190回深夜句会(3/14) [俳句]
暑くなったり寒くなったりで、体力的にキツい。
(選句用紙から)
ささやけるやうに鶯まだ練習
季題「鶯」で春。幼い鶯が小さな声で啼いているのだけど、それがささやくようだ、と。
そこまではいくらもある句かもしれないが、眼目は、下五の「まだ練習」という意図的な字余り。あえてリズムを崩すことで、幼い鳥の鳴き声のたどたどしさを感じさせる。
人によってはその意図をやり過ぎと感じるかもしれないが、私は許容範囲だと思うし、十分楽しめた。
立子忌や和菓子の味の恋しくて
熱帯で立子忌を詠むのはなかなか難しいと思うが、ご本人を存じあげない世代が詠む句として考えるなら、このくらいベタな表現のほうが、かえってそれらしいように思う。ちょっと自信はないが。
髪切つて耳元にある春の風
やられたなーと思う。まず、季題が動かない。ちょっと松田聖子の歌を連想するが、そういう表現を躊躇わないのも経験ゆえか。だいたい「風が耳元にある」って、言われればその通りでありながら、言えそうでなかなか言えない表現。
(句帳から)
風強き夜はとりわけ春の星
青銅の皇帝像に囀れる
橋桁の川面に近く水ぬるむ
三月の輪中の村に雨しきり