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丸山正樹『慟哭は聞こえない デフ・ヴォイス』(創元推理文庫、2021) [本と雑誌]

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本作はシリーズ第3作にあたるが、第1作、第2作と同様、フィクションでありながら、「それは知らなかった」と気づかせてくれることが多々ある。
また、第3話「静かな男」の完成度が際立って高く、これだけでも読む価値がある。


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シマダスの20年(「日本の島ガイド SHIMADAS」日本離島センター、2019) [本と雑誌]

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はじめて読んだ「シマダス」は、2つ前の版(1998年版)だったと思うのだけど、神保町のすずらん通りにあった「書肆アクセス(地方小出版流通センター)」で購入した記憶がある。「シマダス」は読み物ではないけど、次の旅行先探しとして、または、まだ行ったことのない島のカタログとして、楽しく読んだ記憶がある。

その新版が15年ぶりに出たと聞き、即座に地元の書店に注文して入手。98年版から数えれば20年以上になるが、しかし、98年版を読んだときに感じたワクワク感のかわりに、離島がおかれた苦境のようなものが強く感じられ、読むのがつらかった。

いちばんつらいのは、島の人口(平成27年国勢調査)の横に、5年前の国勢調査との比較(増減)のカッコ書きがついているのだが、それが、どこかの家電量販店ではないが、1割、2割減は当たり前なのだ。わずか5年で。考えてもみてほしいが、都会だろうと山村だろうと、自分の町内で5年間に2割も人が減ったら、コミュニティーが維持できるものだろうか。おそらく、できないのではないか。離島は、そこに住む人々の結束が固い地域であると思われ、それがため、かろうじて維持されているのかもしれないが、いま住んでいる人々がいなくなったら―それは、そう遠い先のことではない―どうするのだろうか。移転の自由がある以上、誰かに離島に住むことを強制することはできない。それどころか新自由主義者ないし市場原理主義者は、経済合理性の観点から、むしろ島が無人になることを歓迎するかもしれない(コンパクトシティとかいう議論にもその種の胡散臭さを感じるのだけど、離島となると、もっと直截に問題になりますね)。結果的に、国土の一部を事実上見捨てることになるわけだが、それでよいのですかね。

それはともかく、旅行者であり続けたとしても離島に夢や幻想ばかりを抱いているわけにいかないので、離島がおかれた現実を冷静にふまえながら、先方の事情が許す範囲で楽しく遊ばせていただくのがこれからの目標ということになる。


  

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