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第180回深夜句会(5/11) [俳句]

午後からライフいや雷雨。落雷で電車が止まったりもしていたらしい。

(選句用紙から)

はりゑんじゆ闌けたる島に住む人なし

季題「はりえんじゅ(針槐)」で夏。白い花を咲かせる高木。ニセアカシア。
明治時代に日本に持ち込まれた植物なので、大昔から島に自生していたのではなく、かつてこの島で暮らしていた人々が何かを願って植えたのだろう。その針槐が何十年もして大木になって白い花をいっぱいつけているのだけど、島にはもう住む人がいなくなっている。庭先に植えられた小さな木ではなく、街路樹とかグランドの縁に植えられた姿が想像され、また、下五の意図的な字余りが加わって、その「不在」ぶりが際立っている。

鯉幟寺町近く工場町

工場町(こうばまち)だけではどんな場所なのか絞りきれず、そこが残念。たとえば「寺町」「紺屋町」「細工町」などはそれだけでどんな場所かをおおむね言い得てるのだけど、「工場町」だと何の工場(こうば)なのか、記憶のファイルから具体的な映像を抜き出すのがちょっと大変。
いずれにせよ、鋳物師(いもじ)町、とか鍛冶(かじ)町、とかそんな町工場的な一帯の軒先か庭先に
鯉のぼりが翻っている。そこに住みながら働いている、長い歴史のある町の鯉幟。

蜂一つ分の名残りや藤揺るる

季題「藤の花」で夏。蜂も夏の季題だが、揺れている藤の花の方を詠んでいるもののように読んだ。下向きに咲いている藤の花に上向きにとまっていた蜂が飛び去って、その反動で揺れているのだろう。「蜂一つ分の名残り」が抒情的。

(句帳から)

三階の窓から欅若葉かな
屋上のプレハブ小屋の春深し
雉鳩の声とほざかる昼寝かな
山荒れて好き放題に藤の花
できるかなできるかなけふ若葉風
母も子も父も五月の雨の中
終点に気動車二両山笑ふ
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