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第187回深夜句会(12/14) [俳句]

寒くてもみなさん元気。俳句好きには、どの季節も俳句の季節。
深夜句会も187回目。2025年のお正月には計算上200回になる。

(選句用紙から)

冬帽の上司となりて帰りけり

季題「冬帽子」で冬。詠み手の意図がよくわかります。仕事中はネクタイジャケットでビシッと決めていた男性上司が、オフィスを立ち去るときにニット帽なんかをかぶっていると、これがまぁ別人のように老け込んだ感じに(もっと素直にいえば、おじいさんに)見えてしまうのですね。これが夏帽子だと、おしゃれなものなので、そういう効果はないのだけど、冬帽子は怖い怖い。上司の冬帽じゃなくて冬帽の上司としたところも巧み。

古暦はづして壁となりにけり

季題「古暦」で冬(歳晩)。一年間壁に掛けてあったか貼ってあった暦を外すと、それは壁面になった、と鑑賞すると何が面白いのかわからんと言われそうだが、いままで暦という「機能」をそこに見ていたのに、それが突然壁という、何の機能もなくメッセージも発しない「事物」に置きかわってしまったことへの驚きと、外した後が微妙に跡になっている(暦のかかっていたところだけ、壁紙がやけていないとか)ことの両方が面白いのだと思う。実際には、新しい暦を持ってきてその場でかけかえることが多いと思うのだけど、何かの理由で、先に今年の暦だけを外したのだろう。

残菊の鉢を並べて路地住まひ

季題「残菊」で冬。丹精込めて育てた菊鉢ではなく、植えっぱなしで無造作に放置されている菊が連想され、従って、並んだその鉢に路地の泥はねがこびりついたままになっている風景が思い浮かぶ。表通りでもなく、お屋敷町でもなく、農山村でもない、「路地住まひ」らしさが、並べられた残菊の鉢に表現されているように思う。

(句帳から)

風花や病院の屋上にゐて
住んでゐた町を通過し冬の夜
昼飯を食べにそこまで冬ぬくし

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