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第155回深夜句会(4/8) [俳句]

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(選句用紙から)

自習室の橙色の春灯
 季題「春灯」。自習室があるのは予備校のビルの一角なのか、学校なのか、そこに青白い蛍光灯ではなく、電球色のあかりが灯っている。むろん一年中電灯はついているのだけど、この季節になると、柔らかく暖かみのあるあかりの色に、真冬には感じられなかった興趣が感じられるようになってきた。

小田急の鉄橋遠く春の水
 小田急の「鉄橋の下」なら目の前に春の水があるのだけれども、「鉄橋遠く」なので、春の水も、小田急の鉄橋も遠くにあって、さらに(小田急だからして)そのむこうには丹沢や富士山なども見えているのだろう。その山々の姿も、冬から春のようになってきている。

花屑や暗渠はどこまでもたひら
 季題「花屑」。暗渠をただよう花屑は見えないはずだが、部分的な開渠があって見えているのか、それとも見えていないものを詠んでいるのか。「どこまでもたひら」で、暗渠の上は道路や遊歩道になっていることが想像され、実際にはわずかな傾斜に沿ってゆっくり流れているのだとしても、詠み手の脳裏には、花屑が暗渠の同じ場所にずっと漂っているように思われ、それがある種の季節感と詩情をもたらしている。

引継を終へて仰げる桜かな
 仰ぐというからには、オフィスの窓から見上げる角度に咲いているのだろう。きのうきょう植えられた桜ではなく、ことによると新入社員だった時代からそこにあるのかもしれない。あとはよろしく、と桜にも挨拶をして立ち去りたい気分。

(句帳から)


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