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第47回深夜句会(3/15) [俳句]

年度末が近くなるとそれぞれに忙しく,きょうの参加者は4人+不在投句1人。

(選句用紙から)

雪汁や踏めば溢るる田の面

季題「雪汁」で春。雪解けの水のことだが,「雪解水(ゆきげみず)」などと言わず「雪汁」とした上で,踏みしめた履物のまわりからぐずぐずに湧いてくるそのようすをとらえて「雪汁」という語と結びつけたところにこの句の面白さがある。もう何か月かすれば水が張られ,苗が植えられる田んぼも,今はまだ,ところどころに雪が消え残り,ぬかるんでいるのだが,そこで,普通に春の野原のぬかるみをいうのではなく,田んぼという粘土質の土地だからこそ,「踏めば溢るる」になるという点が(それを説明ではなしにいうところが)一句の眼目なのだと思う。

見つめあふことなき恋や古雛

季題「古雛」で春。
中七が「や」で切れているけれど,その切れ方次第でニュアンスが異なってくる。
大きく切れば,「見つめあふことなき恋」が主調となって,「古雛」との距離がいい感じになる。ことに,「見つめあふことなき恋」の含羞や淡い心持が,古雛という季題(ここで「雛飾」ではないことに注意)とよく響きあっている。
他方,それほど切れていないなら,雛飾がみな同じ向きをしていることから導かれた上五と中七(雛人形を見るにつけ,その並び方に,見つめあうことのない恋のようなものを感じる)ということになろう。いわれてみると確かに,雛飾が同じ向きに並んでいるのは不思議といえば不思議な気がする。

(句帳から)

ブラインド明るんできて囀れる
げんげ田に浮かべるやうに村社かな
赤い角あちこちに生え蔦芽吹く
卒業の袴似合つてゐなくとも
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ろく

まずは、Macご教授御礼、おかげさまで復帰しました。

落椿あまたある道さやうなら 尚毅
有難うただ有難う風光る 尚毅
また会えるだろうかミモザ咲く庭で 真史

こういう句、(僕には作れそうにないけれど)、一見〆切り間際の間に合わせ句に見えて、実は深いなア、と思いました。

美紀さんの雛句は全部好いですね。(mixi句会のぽぽなさん同様紐育住まいの方なのかな?)
by ろく (2012-03-24 12:32) 

やぶ

ろくさま,こんばんは&コメントありがとうございます。

Mac復旧してよかったです。あのMacはかなり熱を発するので,夏の暑さが心配ですが,冬の寒さはなんとか乗りきれるはず。

「有難うただ有難う風光る」
もしこの句意に近いものを私が詠もうとしたら,気負いすぎてトンチンカンな表現になってしまうか,詠んだ瞬間からこっ恥ずかしくなるような陳腐な物言いになってしまうことは確実ですね。それが怖いから,ますます詠めない…ご指摘のとおり,これは詠めそうで詠めない句だと思います。

by やぶ (2012-03-26 23:06) 

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