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福永武彦戦後日記(「新潮」10月号)(2010/9/7) [本と雑誌]

朝刊を読んで驚く。
昭和21年以降の福永武彦の日記3冊が古書店で売られているのが発見され,それを池澤夏樹氏が買い取って,主な部分がきょう発売の「新潮」10月号に掲載されるという。
ふだん文芸誌なんか買うことはないのだけど,急いで本屋へ行って買い込む。店頭には1冊しかない。

新潮2010-10.jpg

長く休眠状態ではあるけれども,高校生のころから福永武彦ファンである。それに,この時期の福永の置かれていた状況は,「夢の輪」や「風花」など叙情性豊かでほの暗い作品の背景というか前提になっていて,作品の中でも時折浮かび上がってくる―けれどもほとんど明らかになっていない―状況なので,これらはぜひ公刊されてもいいような内容であるはずなのだ。

一読してみて,なんともいえない感慨を抱く。もし福永が結核に冒されて療養生活を余儀なくされることにならなければ,こうした蹉跌は訪れなかったのだろうか?そんな気もする一方,そうではないだろうという気もする。文学者同士(芸術家同士というべきか)のカップルの難しさみたいな下世話な印象も受ける。しかしこれだけ精密な日記を書いていたとは。

池澤夏樹氏の解説によると,福永の死後,日記はむろんのこと,蔵書や草稿やメモなどなどが無残に散逸してしまったらしい。なんたることか。

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ろく

これ、私も読みたいです。明日、平安堂に行って探してみます。田舎のことゆゑもし無かったら貸して下さい。
by ろく (2011-12-16 03:33) 

やぶ

ろくさまごめん,これ去年の話なんです。
(いまごろアップするから紛らわしいので,すみません(汗))

なので,家にあるやつのコピー送りますね。
by やぶ (2011-12-16 22:54) 

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