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第69回深夜句会(1/16) [俳句]

(選句用紙から)

成人の日の襟巻のひしめける

ここで季題は「成人の日」で新年ということになるのだろうが、「襟巻」も、あの成人式で見かける(成人式でしか見かけないというべきか)ふわふわの白いやつ(あれを襟巻というのかよくわからないが)はかなり個別性が強い代物なので、ちょっとどうかなとは感じる。
で、その襟巻が(襟巻姿のお嬢さんが)「ひしめいて」いるというのだ。ひしめいているって、どういう状態だろう。一列になって歩いているとか、等間隔に並べられたパイプ椅子に座っているのは「ひしめく」にならないだろう。「ひしめく」というからには、ぎゅっと凝集した感じ、例えば同級生が十人二十人と群がってきゃあきゃあ言い合っている様子ではないかと思う。作者はそれを俯瞰している感じだが、会場にいるのだろうか。

底冷に大曼荼羅を拝みる

季題「底冷」で冬。おそらく寺院なのであろう、底冷えがする寒い(そしてたぶん薄暗い)空間で、びっしり諸仏が描きこまれた大曼荼羅をありがたく拝観している。気の遠くなるようなてまひまをかけて制作された曼荼羅の絵柄が、足もとから冷えてくる寒気とあいまって、密教系の寺院らしさをよく言いえている(同じ底冷えでも、禅寺の底冷えはまた違った風景になるだろう)。

真白なる家を染めるや初明り

季題「初明り」で新年。真っ暗な時分にはそこに家があるのか、また何色なのかもわかりはしないが、早朝の寒さの中で初明かりがあたり一帯をオレンジ色に染めていくと、その家は(オレンジ色に染まっているのだが)真っ白な家だった…ということで、「オレンジ色に染まっているのだが、でも真っ白な家」というあたりに面白さが感じられる。

(句帳から)

通りまでずつと生垣日脚伸ぶ
オーブンを開け大寒のベーカリー
フットサルコート水銀灯真冬


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