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「ハンナ・アーレント」(2012年独・仏・ルクセンブルグ合作・マルガレーテ・フォン・トロッタ監督)【ネタバレ注意】 [映画]

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ニューヨーカー誌の記事が巻き起こした激しい論争の背景に戦後まだ15年という時代状況があることは再三説明されるが、どんなことにでも悪者を求めないではいられない当節においても「巨大な悪事が、凡庸で小心な組織人によって引き起こされた」という問題提起は、「悪者」にゲタを預けて安心していた自分にお鉢が回ってくる気分の悪さから、やはり激しい反発を招くことになろう。アーレントの指摘は普遍性をもち、重い。また、ミルグラムの電気ショック実験にも通じるものがあるなぁと思いながら帰宅後にWikipediaで「ミルグラム実験」の項目を見たら、この実験自体が、アイヒマン裁判から派生して(まさにこの疑問に答えるために)行われた実験だったのだね。なるほど。

みすず書房ファンといいながら、大著「全体主義の起原」を読まずにいままで過ごしてきたが、せっかくの機会だから挑戦してみようと思うが、さて歯が立つものか立たないものか。

余談だが、ハンナ・アーレントを演じるバルバラ・スコヴァの立居振る舞いが、同じニューヨークに住む女性を描いた映画「チャリング・クロス街84番地」(1986年米・デビッド・ジョーンズ監督)でヘレーヌ・ハンフ役を演じたアン・バンクロフトと重なって見える。
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