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Coast to Coast Walk (第10日:Osmotherley→Clay Bank Top→Blakey Ridge) [ウォーキング]

 Osmotherleyの村を出ると霧雨。ビレッジストアで水を1本。ポンチョをかぶろうかと迷う程度の霧雨だが,きょうはアップダウンの激しいコースなので邪魔になると考え,そのまま雨に濡れていくことにする。
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(Osmotherleyの村。うまく撮れていないが,とてもかわいい静かな村だった)

 午前中から150〜200メートル単位のアップダウンをしつこく繰り返す。道自体は,きのうCleveland Wayと合流してからは,格段にしっかりした道―敷石があったりする―になった。道標もまずまず整備されている。このあたり,National trailであるCleveland Wayにくらべて個人提唱のCtoCが冷や飯を食わされている感じ。咲き始めたヒースにおおわれた丘を,あえぎながら登る。前を行く男子3人組は,登りであっという間に遠ざかってしまった。
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 高地の崖っぷちまで来て,せっかく登ってかせいだ高度を,一度落としてまた登らなければならないことがわかる(見える)地点に来ると,なんともいえないがっかり感。ここに長大なつり橋があれば,むこうのピークとほとんど高低差がないので,登り返さなくて済むのに…と毎回同じことを考える。Carlton Bankへの急な下りあたりから天候が回復し,暑いぐらいになる。今日中になんとかBlakeyまで歩かなければいけないので,Carlton Bankにあるトレッカーご用達のカフェStonesには寄らずに歩き続ける。
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 何度目のピークになるのか,Wain Stonesの岩山にバックパックを下ろして昼食。サンドイッチにトマトを入れてもらうと水分が多くて食べやすい。これまでの教訓から,昼食も,立ったまま素早く食べる。座ったり,長時間止まったりしているとどんどん足が痛くなるので。
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 前後1キロぐらい誰もいなくなったので,景気づけに歌いながら歩く。歩くピッチと合った歌って何だろう。まず牛や羊にまじって歩く牧草地ではこれ。
 ♪ 丘を越え行こうよ
   口笛吹きつつ
   空は澄み青空
   まきばをさして
 この突き抜けたお気楽さがなんともいえずいいなあ。歌詞もどんぴしゃり。でもこの歌って,もともとアメリカかイギリスの民謡じゃなかったっけ?

 次に,稜線歩きではこれ。
 ♪ 信濃の国は十州に
   境連ぬる国にして
   聳ゆる山はいや高く
   流るる川はいや遠し
 これはまるで稜線歩きのために作られたような爽快感。二番もなかなかいけます。CtoCでいちばん歌ったのはこれだったかもしれない。

 まっ平らな畑や木立の中をどこまでも続いている道は,いささか退屈でもあるので,
 ♪ 往かんかな この道を
   遠く遥けく往かんかな
 あまりにもぴったり…というか,つきすぎでしょ。

 きょうのジェットコースターのような上り下りを我慢しながら歌うのは,
 ♪ 芙蓉の高嶺を雲井に望み
   むらさき匂へる武蔵野原に  とか
 ♪ 見はるかす窓の富士が峯の雪
   蛍集めむ門の外堀       とか
 ♪ 権利自由の揺籃の
   歴史は古く今もなほ      とか,歌詞を切り貼りしてでたらめに歌いまくる。

 …はっと気づくと,いつのまにか追いついてきたトレッカーがすぐ後ろにいたりする(赤面)。麦藁帽かぶって歌いながら歩いているアジア人は,さぞかし変ちくりんな感じに見えることだろう。いゃ実際変ちくりんなのだけど。

 Claybank topからUrra Moorまで登るとほぼ平坦な道になり,これで今日の急登は全部終わり。15時までにClaybank topを通過できれば大丈夫と計算していたが,2時間も早く13時すぎに通過できたのでほっとする。相変わらず歌いながら歩いていると,はるかむこうから三輪バギーに乗ったおじさんがやってくる。巨大なペットボトルを抱えて何か飲んでいる。顔がわかるぐらいの距離に近づいてくると,おじさんの後ろから牧羊犬が2匹,ばびゅーんとすごい勢いでヒースの茂みに飛び出して,あっという間に消えていく。おじさんが不思議な節回しで指笛を吹くと,どこかから羊を見つけ出し,こちらへ追い込んでくる。すごい芸当。

 Bloworth Crossingでむかしの鉱山鉄道の廃線跡(歩道になっている)に入ってからは,再び前後に誰もいない状態。線路の跡に従って歩くだけなので地図を見る必要もなく,すごく楽ではあるのだけど,暑いし退屈。等高線に沿って何度めかのカーブを曲がると,前方はるかかなた(といっても1キロぐらい先)にライオンインの茶色い屋根が幻のように見えてくる。荒野の一軒家なので見間違いようがない。しかしそこからが長い。最後に廃線跡をはずれてLion Innまで斜面を登ってたどりつく。自動車道路に面しているので車がいっぱい停まっている。
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 誰もいないトレッキングルートから,荒野の一軒家とはいえ文明界に戻ってきたので,冷たいものが飲みたい。カウンターのメニューに書かれた「生クランベリージュース」を頼むと,氷を入れた300mlぐらいのタンブラーで出してくれる。一気飲み。そのまま血管に入っていく感じで,たとえようもなくうまい。
 まだ1リットルぐらい飲めそうな勢いなので,もう少し大きなものを頼もうとメニューを見るが,大きなサイズのソフトドリンクがあまり見当たらない。セブンアップかコーラか。水でもよかったのだけど,なんとなくコーラを1パイント頼んでしまう。コーラ飲むのは10年ぶりぐらいか。これまた一気に飲もうとするが…
まずい。
何じゃこりゃ。これだけ喉が渇いているのにおいしくないとは,よほどの飲み物に相違ない。それにしても,このどんよりとしたケミカルな甘さは何なのだろう…

 さてきょうの宿は,ここからRosedaleを下りたところにあるB&B。6マイルあるのでさすがに歩いて行く気にならない。Lion Innにあった公衆電話は今はないというので,借りた電話で迎えに来てもらう。ご主人が電話口で「黒い4WDで行くから,駐車場にいてくれ!」と言うので,念のため「おいらは麦藁帽子をかぶって,緑色の長袖のシャツを着てます!」と説明したら笑われた。

August Guesthouseというこの宿は,Rosedaleの中腹に建っているのだけど,奥方様がバードウォッチングが趣味とかで,各部屋の名前も鳥の名前,庭には鳥に餌をやるための装置(あれは何というのだろう)が備えられて,とても雰囲気のよい宿。

(区間距離21miles,所要時間7時間50分)
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コメント 2

ろく

いふなれば在信武州人あるいは東京系諏訪人たる我、信濃の国を歌へず、歌詞は頭二行を知るのみ。流山の吟遊詩人、何ゆゑ二番までを歌ひ得るにや…
by ろく (2012-10-01 10:38) 

やぶ

ろくさま,こんばんは&コメントありがとうございます。
たぶん,信州人じゃないので,事情を知らない分だけ勝手に楽しめるからではないでしょうか…

by やぶ (2012-10-04 02:01) 

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