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第161回深夜句会(10/14) [俳句]

年を追うごとに秋が短くなっているような…

(選句用紙から)

括られて秋明菊の咲き乱る
 季題「秋明菊」で秋。品種が多く、色も形もさまざまなのだが、ここではその色や形をいうかわりに、「括られて」が秀逸。日陰気味の庭先かどこかに、適当に括られるようにしてたくさんの葉と花を咲かせている。人の暮らしのすぐ近くにある花であることを言い得ている。

里山と棚田と霧のなでゆける
 季題「霧」で秋。「なでゆける」なので、里山を撫でるようにして下りてきた霧が、そのまま、里山の下に連なっている棚田を撫でるようにして平地に下りてきている。地表近くに触れるようにして高所から下りてくる霧の様子。

天高し台地はすべてキャベツ畑
 季題「天高し」で秋。晴れ渡った空が高く感じられるところ、その空の下、この台地も見渡すかぎりキャベツ畑になっている。このような状況であまり使われない「すべて」が作者の感興をよくあらわしている。

干さるるまま固き雑巾そぞろ寒
 季題「そぞろ寒」で秋。干されたまま固く干涸びてしまった雑巾は、雨でないかぎりどの季節でも見かけるものだけど、その雑巾が寒々しさを感じさせるところが、いかにも晩秋の風情なのだろう。

雨粒の音椎の実の落つる音
 リズムで読ませる一句。「木の実落つ」は多くの場合、静まりかえっている中を落ちてくるのだけど、雨粒が音を立てているような状況でもその音が聞こえた、という一句。

(句帳から)

秋晴や図書館の入口にカフェ
赤い羽根一瞬見えて運転士

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