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第169回深夜句会(6/9) [俳句]

雨。
次回が170回目になるのですね。どこまで続けられるのだろう。

(選句用紙から)

海を来し風にポプラの絮とべる

季題「ポプラの絮」で春(草の絮は秋、柳やポプラの絮は春)。ポプラが植わっている場所といったら、小さな家の玄関先ではなく、まずは大通りとかグランドとか畑のへりになるのだろうけど、そういう場所に、風に乗ってポプラの綿毛が飛んでいる。その風が、そう遠くない海から吹いてきたー北の海を渡ってきたー冷たい風だ、という一句。そこに暮らして俳句を詠んでいる人にはつきすぎに感じられるかもしれないが、暖地に住んでいる者にとっては、北国の北国らしさというか、北国ではポプラの綿毛といえども、ひんやりした空気のなかを飛んでいるのだね、と感じられて好ましい。


梅雨曇東京駅の空狭く

都会の空が狭い、という表現はよくある(手垢がついていると言ってもよい)のだけど、ここではもっと踏み込んで「東京駅」としたうえで、何しろ周囲には高いビルばかりがある場所なので、それで空が狭いというよりも、梅雨曇りのその雲が低くたちこめて、駅の上やまわりのビルにかぶさって空が「狭く」なっている様子を表しているように感じられた。上五を「凍雲や」「鰯雲」に置き換えてみても、この感じは出ない。


袖を二度三度捲りし薄暑かな

季題「薄暑」で夏。腕まくりの句って無数にあると思うのだけど、この「二度三度」をどう鑑賞するか。一定の時間の経過のなかで、腕まくり→もとに戻す→再び腕まくり→もとに戻す→三たび腕まくり
という繰り返しを表しているのだろうか。それとも、長袖のドレスシャツのカフの部分を「二度三度」折り返すように腕まくりをしたということだろうか。面白いのは後者だろう。あれは二度折り返すと、ちょうど肘に届くのだけど、さらにもう一度折り返すと本格的な(?)腕まくりになるのです。

(句帳から)

山梔子の咲いてるはずの雨の道
遠雷をぼんやり映し雲の色

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