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第150回深夜句会(11/10) [俳句]

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深夜まで利用できる静かで広い会場が見つからないうちに第3波などと言われはじめ、150回目の深夜句会も通信に。残念。

(選句用紙から)

紫苑咲く処と知って訪へる
 季題「紫苑」で秋。お屋敷か公園か、そこに毎年紫苑が咲くことを知っていて、それを念頭において(あるいはさらに、それをめざして)訪ねていった。バラのようなめだたしい花ではなく、紫苑であるところが一句の眼目。

冬の田に大きな空がありにけり
 秋の田や夏の田にも大きな空があるのでは、と思われそうだが、秋の田や夏の田の主役は、そこに植わっている稲なので、なにもなくなった冬の田の上に、大きな空がかかっていることは、納得されるところである。また、大きな空「が」と、わざわざ口語的な言い方をすることで、詠み手の感興というか発見というか、驚き感心する気持がよく伝わってくる。

助産師の声よくとほる今朝の冬
 季題「今朝の冬」で冬。立冬の傍題。病院の産婦人科や助産師外来のようなところ、あるいは助産院でもいい。妊産婦や子育て中の親にとって助産師は身近な相談相手であって、しばしばそこで助言を求めることになる。その助産師の声がよく通るというのだ。むろん一年中よく通る声なのだろうが、冬の冷たく澄んだ空気の中で、きびきびとアドバイスをくれるその助産師がいっそう力強く、また心強く感じられる。

暖房の一部屋分のにほひかな
 季題「暖房」で冬。大きなビルの全館暖房も、小屋のストーブも、同じ「暖房」なのだけど、わざわざ「一部屋分」と言っているので、少しクラシックな石油ストーブを、どこかの部屋でたいていたのだろうか。そのにおいは、そこに住んでいる人にはあまり自覚されず、たまたま訪ねてきたり帰宅したりしたときに感じられるものなのだけど、その部屋にかぎって、その石油くささが感じられた、というようなことが、それ以外の部分は冷たいままであることから、家屋の感じや暮らしぶりを感じさせる。

長葱の束を掴めば軋む音
 季題「葱」で冬。そう言われれば、たしかにそういう音がする。

(句帳から)

三両の特急電車冬の海
冬の暮踏切ドップラー効果
冬の月雲を超えまた雲を超え
 
 

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