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夏潮稽古会2日目(8/28) [俳句]

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野尻湖の湖岸の奥の方には、横文字の表札ばかりが並ぶ一帯があるのですね。しかもその横文字には北欧系のお名前が多いような気が。まだ8月だが人影はまばら。曇り空の下、避暑地というよりも既に秋寒の風情。といいつつ、泳いでいる親子の姿も。

(選句用紙から)

ボート立てかけて湖畔の家は留守

季題「ボート」で夏。
諏訪湖でも琵琶湖でも、湖畔に家が建ってはいるのだろうけど、ここでは別荘のような建物を念頭におくのだろう。その別荘の庭先だか玄関先だかにボート(立てかけられる程度のボートだから、貸しボートのような大きなものではなく、むしろカヌーのようなものか)が立てかけてある。しかし人の出入りする気配はなくて、まだ夏なのにきょうは留守なのかしらんと。これが通年暮らしている家だと、「家は留守」はそれこそ空き巣の視点でしかないのだけど、夏の間だけの家と捉えれば、「ここのご家族は、きょうは町へ出ていて留守なのか、それとももう戻ってこないのかな」という問いかけになっている。

三人の男ボートにバスを釣る

野尻湖にうかべたボートに3人が等間隔で立って(小さなボートなのに、立って)何かを釣っている不思議な風景をみんなが実見しているのだけど、この句は、ジェローム・K・ジェロームの「ボートの三人男」に引っかけているのではないかと。違うかな。あのイギリス的な脱力系小説(中公文庫で読めます)と、野尻湖でブラックバスを狙う三人男の奇妙な姿が絶妙にシンクロしていて、ヴィクトリア時代のテムズ川から野尻湖にひょいと現れたような心持がして面白く読めた。

(句帳から)

黒い牛茶色い牛に秋の晴
禁漁区てふ小流れに靫草
野尻湖の小さな波の冷やかに
野尻湖の艇庫の屋根に秋の蝶→艇庫の屋根を
終焉之舊宅の碑のやや寒し

きょうの夜句会のお題は「不知火」「初月」。見たことない不知火と見えない初月の組み合わせ。

(選句用紙から)

不知火の灯りて海の現はるる

その光が見えるまでは、海は単なる闇(自分の周囲にひろがる広大な闇のどこか)であって、空と海との区分も明瞭でなかったのであろう。自分も陸地の、暗い場所にいるということ。しかし水平線に不知火があらわれると、それは空と海との境を示すとともに、海にぼんやりと映ることで、海というかたまりの存在をも示し出す。理屈っぽく書けばそうなのだけど、この句はそれを、理屈に陥らずに述べている。

高原の澄みわたる気や初月夜

(句帳から)

不知火のつぎつぎ増ゆる不思議かな
不知火の微かに上下してをるよ



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