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番町句会(5/9) [俳句]

平日の晩にうまく職場を脱け出すのは至難の業。きょうもあれこれに係っているうち7時前になり、遅参して選句の途中から。急に句会場に座っても頭の切り替えがつかず、落ち着かない。

(選句用紙から)

渋谷川に乗り出し桐の花咲ける

季題「桐の花」で初夏。渋谷川って、渋谷駅より上流では隠田川も宇田川もすっかり暗渠になってしまっているけど、下流はかろうじてコンクリートの溝として川面をみせている。東横線の渋谷駅が地上にあったころは、駅を出ると左手にそれが見えるのだった。それはともかく、雑居ビル群の排水溝みたいな姿になった渋谷川に乗り出すように、桜ならともかく、淡い紫色の桐の花が咲いているというのだ。ぼさっとした大きな花だから、遠くから見えたのかもしれない。いったいどういう事情なのか、むかしその場所に住宅か町工場でもあったのだろうかと想像され、それにしても今のこの渋谷川のありさまとの落差に、哀感を覚える。

棚に古茶新茶土産の中国茶

季題「新茶」で初夏。「古茶新茶」まで来たところでいきなり「土産の中国茶」という落とし方が最高。新茶とか古茶とか言わず、もう何年前のお茶なんだかわからないが、とにかく土産にもらってそのままになっている中国茶がパッケージのまま棚に並んでいるというのだ。あるいは、ひょっとするとその中国茶は、ある種の普洱茶のように黒くつき固められていて、古茶新茶どころではない姿かたちなのかもしれない。でもそれなら、「土産の中国茶」のような言いかたはしないか。

(句帳から)

若葉風英語で道を尋ねられ
十薬に占拠されたる花壇かな
挽きたてのコーヒー豆に風薫る
改札を抜けて薄暑の港町

師匠から「一定の技術でそれなりに景をまとめることができたとして、その作者の作者たるゆえんとか、その人の何かに触れるといったことがないと、それを抜け出したり超えるものにはならない」という趣旨の句評をいただく。洵にその通りであると思う。

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