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籐椅子探勝会 [俳句]

籐椅子探勝会はきょうで200回目のおめでたい記念句会。これを機会にいったん大団円として、来月からは「新探勝会」として再発足するということだが、200回のうち片手ほどの回数も出席していないので、参加させていただいて申し訳ないことしきり。

小石川後楽園に入るのは17年ぶり。枝垂桜の芽がまっ赤にふくらんで、いまにも咲き出しそう。木五倍子の黄色い花も垂れている。
シダレザクラ.JPG
が、昼過ぎに遅刻ぎりぎりでかけ込んだときは25度近くあった気温が、砂嵐のような寒冷前線の通過とともに一変し、帰るころには10度を切る(推定)激変ぶり。これはたまらん。

(選句用紙から)

探勝を重ねし月日鳥雲に

季題「鳥雲に(入る)」で春。帰ってゆく鳥が雲間に消えて見えなくなること(ホトトギス新歳時記)
長年にわたって虚子の足跡を追ってあちこちを訪ねてきた句会もきょうが最終回。時あたかも、北へ帰る鳥たちが日本を発って空の果てや雲間に消えてゆく。
「鳥雲に」「鳥帰る」という季題は、北へ帰る雁とか鴨などの鳥たちとの別れをうたっているわけだけど、その別れの気分と、最終回を迎える句会とのシンクロが諷詠としての効果をあげている。そしてまた、単なる別れではなくて、これから連れ立って北へ旅立つということが、新たな探勝の旅ということと微妙に重なっているのもよい。
200回を12で割ると16年以上になるのだけど、今日おいでのメンバーの多くはずっと参加され続けていたわけなので、探勝を「重ねし月日」は大げさではない。こういう句に会ってしまうと、降参としかいいようがない。

腕まくりして春の風春の土

腕にあたる春風の冷たさや温かさも心地よい。そしてその腕は、スコップだか農具だかをつかんで、土を相手にしている。その土の色や土のにおいも、今までとはだいぶ違って、春らしいものになっている。

小石川後楽園も霾の底

季題「霾」で春。黄沙あるいは黄塵とも。ホトトギス新歳時記を見ると「ときに寒冷前線に乗って日本の上空にまで飛来して空を黄色くすることがある」ってきょうの東京そのものですな。
ボウルとか鉢に水を張って、その底に何かがある、というように、大気に砂塵が充ち満ちて、その底に東京の町や庭園がある。高層ビルなどは砂塵色の空に突き刺さっているように見え、また庭園ではさまざまの花や木の芽が砂塵を含んだ風に吹かれている。

(句帳から)

春昼の電車の二人何語ならん
春埃塗りつけしごと空濁る
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