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池袋句会(12/5) [俳句]

兼題の「炭斗(すみとり)」「塩鮭」はいずれもなかなかの難題。特に前者は、茶道のお道具としては残っているらしいが、実物を見たことがない。

(選句用紙から)

大荷物べつたり濡れて冬の雨

季題「冬の雨」。大きなトランクとかスーツケースとか、いずれにせよ胸にかかえて運ぶサイズではない大きな荷物といっしょに移動しているのだが、そんなときに冬の雨が降ってきて、荷物がどんどん濡れていってしまう。しまいにはその荷物からもぽたぽた水滴が落ちはじめ、これでは屋内に入ってもさらに滴りつづけてしまう。
一句の眼目は「べつたり」で、のべつ濡れてしまったさまを描いているのだが、その「べったり」が、冬の雨のとりつくしまもない感じと疎ましさを描いている。春の雨とか秋の雨だと(むろん春や秋にも強い雨や長雨はあるにしても)「べつたり」には違和感があるし、短時間に激しく降る夏の雨は、別の表現になるはず。そう考えると、何気ない表現だがそれが冬の雨をよく言い得ているように思う。

かんかんと炭斗に炭継ぐる音

季題「炭斗(すみとり)」で冬。炭斗とは、炭を小分けにして入れておくうつわ。同時代というより戦後のある時期までの旅館や学校の風景のように思われる。それぞれの部屋(あるいは客室、教室など)の炬燵や火鉢などに使う木炭は、女中さんや用務員さんによって各部屋の前に置かれた「炭斗」に入れられるのだが、それが補給されるとき、炭と炭斗がぶつかって、あるいは炭と炭がぶつかって、「かんかん」とか「きんきん」といった金属製の高い音をたてている。作者は部屋の中で(夢うつつに?)それを聞いている。作者の関心は「炭斗」より「炭(炭のたてる音)」にあるのだが、炭がそんな音をたてること自体、そう言われればそうかな、と改めて気づくところではある。


(句帳から)

塩鮭の箱に塩鮭描かれある
スチームのかちかちの止み始業かな
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