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籐椅子探勝会(9/9) [俳句]

芭蕉記念館へ行くのは初めて。

(選句用紙から)

露の世の意外に若き芭蕉像

季題「露の世」で秋。
主宰が解説をしてくださったところによると,50歳で亡くなった芭蕉は,若いころから「翁」と称していたのだそうだ。そのため,後世の私たちは,芭蕉がいつでもどこでも老人だったかのように思いこんでしまうけれど,当然に30代や40代の芭蕉であったわけで,そう思って読むと「意外に若き」が実感として効いている。むろん作者はそういう理屈を言おうとしたのではなく,実際にそう見えてそう詠んだのだろうけど,期せずして季題(この句の芭蕉は季題ではないが)のほんとうの姿に迫っているわけだ。

骨董の福助剥げて秋の蟬

そういえば最近あまり見かける機会がない福助人形だが,縁起物として大流行した時代もあったそうだから,骨董品となって古道具屋に陳列されている福助人形もあるのだろう。
剥げたり欠けたりしている骨董の福助人形がどこにどんな様子で飾られているのか(あるいは,何かの商店のショーウィンドウの片隅とか?)はわからず,福助人形が骨董として扱われる程度には現代的な場所ということになるが,ちょっと幅がありすぎる。しかしともかく,そこに秋蝉の啼く音がふりそそいでいる。「剥げた骨董」と「秋の蝉」がつきすぎと感じる人もいるかもしれないが,体言で切らずに「剥げて」として次へつないでいくので,これでいいのではないだろうか。


(句帳から)

己が影曳いて芋虫緑なる
よく澄んで野末の夜の鰯雲
江上の破屋の碑文震災忌
まつすぐに駅前銀座秋暑し

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