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池袋句会(9/5) [俳句]

今日の兼題は「大文字草」「初嵐」。
どちらも初挑戦の季題なので,かなり苦戦する。

(選句用紙から)

入植の砦の崩れ初嵐

 砦を伴わなければ入植できない状況というと,西部劇の世界とかであろうか。
 いや西部劇に限らず,そもそもまったく誰もいない土地なんてものはそう無いわけで,入植という言葉自体がフリクションを連想させるものではある。ところが,そこで繰り広げられたであろうさまざまなあれこれにもかかわらず,今やその砦も入植地も朽ち果て,荒れ果てるに任されている(入植地がどうなったかは描かれていないが,入植地が近代的な都市や農場になっていて,都会のまん中に砦が残されているのではないだろう)。そしてその,廃墟と化した砦および原野と化した入植地に,秋の強い風が吹いている。
 ここで初嵐か,というツッコミは想定されるところで,実のところ「野分でも台風でもない初嵐」と上五中七がどう響きあうのか?という疑問はあるのだけど,これは野分ではなく,「本格的な嵐ではないが,強い風が吹いている」状態を持ってくる必要があったのだろう。「秋の風」では全然だめ。
 
木管のパート練習初嵐

 風そのものではなく,その風に乗って流れてくるホルンやオーボエの「音」を通じて風を表現しているのだけど,それが河原でひとり吹いているのでも深夜の公園で吹いているのでもなく,オーケストラ(ブラスバンドでもいいけど)のパート練習で二人とか三人とかで吹いているというのだ。
 聞いたことのある方ならおわかりになると思うが,アマチュアオーケストラのパート練習を聞いていると,けっこう心もとないことが多い。また,曲が何なのかよくわからないこともある。そんな心細い音が強い風に乗って流れてくるのが聞こえる,という風景。またそれが聞こえる程度だから「初嵐」なのだともいえるわけで,野分とか台風だったら木管の音が聞こえるとか聞こえないではなく,そもそもパート練習どころじゃないわけだから。

(句帳から)

大文字草両手両足広げたる
水引の花穂ついついとついついと
実をつけて林檎節くれだつてをる

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GO!LEAFS!GO!

有難うございます。私、薮さんに特選とっていただくのって相当久しぶりだと思います。
おおむねの光景ですが、季題が付け足しのように思えるのが傷ですかね。
by GO!LEAFS!GO! (2012-09-14 04:19) 

やぶ

GO!LEAFS!GO!さん,こんばんは&コメントありがとうございます。
(このハンドルネームは,今日を予期していたようなネームですね…)

 おおむねの光景,ていう意味がよく判らないですが,季題が付け足しになってはいないと思いますよ。ただ,季題からの発想で考えていったときに「入植の砦」はちょっと理が勝ち過ぎているというか,そこまで細かく説明しなくてもいいように思います。
 お彼岸を過ぎると随分と寒くなってくると思いますが,カナダの暮らしで存分に季題を拾ってください。
by やぶ (2012-09-15 00:01) 

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