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新年会(1/8) [俳句]

学生俳句会の新年会で,上野を吟行。
東照宮の牡丹園に入ってみると,冬の寒さのなかを赤や白の寒牡丹が咲きそろって美しいのだけど,どうしたことか,一つ一つの寒牡丹の横に,俳句が書かれた木札が立てられている。それがまた,なかなかな出来栄えの俳句ばかりで,読まないように目をそらすのが大変。

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上野界隈はなかなかのにぎわいで,ルノアールに列ができているのを初めて見たが,たまたま空いていた喫煙席にささっと陣取って句会。暖房のきいた室内にいると,外の寒さとのあまりの落差に,深い眠りに引きずりこまれそうになる。

(選句用紙から)

一片にみどり味のある冬薔薇

季題「冬薔薇」で冬。
ひとひらに,と来て次はどうなるのかと思うと「みどり味のある」つまり緑がかっているというので,何のことかと思っていると最後に「冬薔薇」となる。みどり味があるなら,花弁の色は白であろう。真っ白であることとされている冬薔薇も,そのひとひらをよくよく見ると萼に近いあたりはうっすらと黄色や緑がかっている。それを「みどり味のある」と美術の授業めいた突き放した言い方でうまく掬い取っている。

日向ぼこ上野の街を抜けてきて

季題「日向ぼこり」で冬。
固有名詞を使う俳句は,固有名詞にもたれかかってしまう危険があって難しいのだけど,いかにもがさがさした,寒風吹く上野の街を抜けて,池ノ端とか根津あたりまでやってくると,これはまた先ほどまでの喧騒が嘘のように森閑としている(きょうの不忍池はすごい人出だったけど)。上野の「上野らしさ」とでもいうべきものをよく活かした句だと思う。
ちょっとした場所や店先で日向ぼこりをしながら,歩いているうちに冷えてしまった体を暖めてほっとしている感じがいい。

(句帳から)

鋭角に頸の折れたる枯蓮
陶火鉢しつらへてある苔の庭
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