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千代田区オーケストラフェスティバル(カザルスホール) [音楽]

アマチュアオーケストラの演奏を聴くには、全体の音のひびきは多少犠牲にしても、2階席とかバルコニーとか、一人一人が上からよく見えるところに陣取るのが一番。パートからパートへどんなふうに旋律を受け渡していくのかとか、フルートの3番奏者がどこでピッコロに持ち替えているのかとか、CDではわからない曲の勉強にもなる。

〔化学オーケストラ:ベートーヴェン/交響曲第7番〕
・ことし初お目見えのオケ。平均年齢高く、男性比率高い。「日本化学会の会員の中の音楽好きが中心になって2002年に結成されたオーケストラ」なのだそうだ。「毎日の生活で化学のお世話にならぬ日はないといってよいことに気づいていただければ幸いです」とパンフレットに大まじめに書いてある。
・冒頭の「ジャン!」に続いてちゃ~ら~ら~と出てくるオーボエが不安定で、聞き手に前途不安を感じさせたが、技量はともかく、一生懸命に演奏している気分が伝わってくるオーケストラで、聴衆とともに最後まで頑張った!という拍手を浴びる。

〔ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団:プロコフィエフ/交響曲第1番(古典交響曲)〕
・去年先頭で登場し、ベートーヴェンの「コリオラン」序曲と交響曲第1番を演奏してくれたオケ。小編成で第1,第2ヴァイオリンが各6人、低弦は各3人しかいないのだが、みなよく音を出していて、アンサンブルのそろい方もすばらしい。小型で高性能のスポーツカーのような演奏。よく鍛えられた野球チームのようでもある。視覚的には、ソプラノ歌手を思わせる押し出しのよいコンミス(持ち回りだそうだが)が印象的。
モーツァルト:交響曲第40番
・この曲にティンパニがないことを初めて知る。こういうことは漫然とCD聞いていてもわからない。第4楽章をかなり早いペースで飛ばし、ちょっと不安になるが、最後までアンサンブルは乱れない。見事。このオーケストラの定期演奏会に行ってみたい。

〔千代田フィルハーモニー管弦楽団:ベートーヴェン/交響曲第6番〕
・出てくる順番で損をした。前のオケとどうしても比べてしまう。大編成になった分だけ合わせづらい様子がありあり。このあと18日に、天下の日比谷公会堂で定期演奏会をやる(しかももう1曲は「展覧会の絵」←エキストラ満載?)そうだが、大丈夫だろうか。去年このオケはメンデルスゾーンの第5番を弾いてくれて、すばらしい演奏だったのだが…そのときにフルートのソロをとった年配の女性奏者と、きょうは同じ人のようにも別人のようにも見える(記憶がはっきりしない)。きょうは、女性のティンパニ奏者が、細い身体でしっかり几帳面な音を出していた。2種類のマレットを使い分けていて、その工夫が効果をあげていたことも印象に残る。

〔尾原勝吉記念オーケストラ:チャイコフスキー/交響曲第5番〕
・去年もトリで、シベリウスの5番(だったか)を派手に演奏しきったオケ。ことしも楽しませてくれた。カザルスホールのステージは狭いので(室内楽用だから当たり前だが)、第1バイオリンの最後のプルトは背もたれが壁にぴったり着くぐらいの位置なのだが、第1・第2合わせて23人いる。それが、並び方を見ているとどうも第1が13人・第2が10人のように見えるのだが…しかも、椅子と譜面台が1つ足りず、ステージマネージャーがあわてて運び込むというハプニング付き。入場して自分の席がないのに気づいた楽員は、さぞびっくりしたことだろう。
・大学オケのOBがやっているオケなので、音のまとまりというか、先輩から後輩に伝えられてきたある種の指向性というのか規範のようなものがあって、それが音に筋を通しているように聞こえる。
・冒頭から最後までクラリネットが大活躍する曲。2人の男性奏者が無難に吹ききる。
・第2楽章のあたま30秒ぐらいのところから、長い長いホルンのソロ。途中クラリネットやオーボエもからみながら、およそ2分ほども続く。日本人好みの抒情的なメロディーを吹いてくれるのは女性奏者。これが、奏者の緊張がびりびり伝わるような、ちょっと音が震え気味のソロで、聞いているほうも全身に力が入ってしまう。音程の不安定な楽器だけに若干のほころびはあったが、なんとか無事に吹ききって、聴衆もほっとするやらうれしいやら。ジャズならここで嵐のような拍手がわき起こるところ。さすがに、あとで指揮者から指されて拍手を浴びていた。

4時間あまり演奏を楽しんで、入場料無料!千代田区の太っ腹ぶりには感謝する。完成度ではベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団に1票、聞き所を多く提供してくれた点では尾原勝吉記念オーケストラに1票、演奏することの素朴な楽しさと敢闘精神を見せてくれた点では化学オーケストラに1票。


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買い物小僧

ベートーヴェンティアーデ室内管弦楽団のメンバーの一員の買い物小僧ともうします。まことにおくればせながら、ブログを拝見し、とても、昨年の千代田オーケストラフェスティバルにご来場を賜り、また、ご感想までいただきありがとうございました。その後モーツアルト40番は、07年7月に軽井沢大賀ホールで演奏いたしました。
今年もオーケストラフェスティバルに出演します。11月10日土曜日、私どもベートーヴェンティアーデ(通称自身をベトティアと呼んでいます)の今年の出番は、最後で、17時30分開演です。
ことしは、ベートーヴェンの第3交響曲英雄を全曲演奏予定で、ただいま練習をしています。もしよろしければ、ぜひ、ことしもご来場を賜り、お聴きいただけると私どももとても励みになります。
よろしくお願いいたします。御礼がおそくなりどうもすみません。
by 買い物小僧 (2007-10-31 21:08) 

やぶ

買い物小僧さま、拙ブログにコメントありがとうございます(買い物小僧って、風変わりなHNですね…)。

ごく内輪の零細なブログのつもりでいたので、当事者からコメントをいただくとは思いもよらず、恐縮しています(汗)。そうと知っていたら、あんな失礼なことを書くんじゃなかったと反省しきり(冷汗)。どうして見つかってしまったんでしょう。

今年のオーケストラフェスティバル、まだスケジュールの調整がついていませんが、ベートーヴェンティアーデの「エロイカ」、ぜひ聞いてみたいですね。特に1楽章のリズム感とか、終楽章の猛烈な刻みとか、最も得意とされるところなのではないかと…楽しみにしております。
by やぶ (2007-11-01 00:04) 

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