SSブログ

デューク・エリントン・オーケストラ+フリーダ・ペイン(Vo) [音楽]

白地にデューク・エリントン御大のサインをあしらったとおぼしき立派な譜面台が舞台に林立し、ホールに入った瞬間からビッグバンドの楽しさを感じさせる。

やがてあらわれたオーケストラ、ピアノが日本人、4人いるトランペットの1人も日本人だ。これはいったいどうしたことかと思っていたら、どちらも急病でピンチヒッターが立ったという。NYの「バードランド」で留守番公演をしている2軍(1軍?)から補充すればいいのに。

演奏がはじまると、古き良きアメリカというべきか、1920年代のかおりが濃厚にただよう金管の至芸のかずかず。朝顔の前にあてて音を調節する蓋のような道具をなんと呼ぶのか知らないが、表情のつけかたが映画音楽のよう…というか、アル・カポネとか禁酒法とかの時代に引きずり込まれるような、艶のある音。楽員はそんなに高齢ではないから、同時代で経験している者はいないはずだが、そこは楽団の伝統というものなのだろうか。代打で入った日本人のピアニストがいちばん遠慮がちに淡々と弾いていたのもなんだか気の毒なくらい。

サックスの右から2人目の黒人、針金のようにやせ細っている(おいらより細い!)のだが、立ち上がるとものすごくよく通る音を出す。どこからあんなに吹き込めるのだろう。

ボーカルのフリーダ・ペインは自らのヒット曲でもある「ソフィスティケイテッド・レディース」をはじめ衰えのない声量を披露。1942年生まれってどこがですか…1962年生まれといっても通じるぐらい。

スウィングしなくてどうする!というノリのよい曲ばかりだったのに、聴衆の多くはなぜかお地蔵さんのように固まっていて、あまり反応しない。発売日と同時にどんなチケットでも買ってしまうお年寄りが多いのか…時間がありあまっていてうらやましい。新しいものに目を開いてもらうのはいいことだけど、これでは楽団がちょっとかわいそう。たまに拍子をとると、表(1拍目)でたたいてしまったりとか。
 でも、左斜め前に座っていた70過ぎとおぼしき白髪のお爺さんは、最初からずっと身じろぎもしなかったのに、アンコールの2曲目に「A列車で行こう」が演奏されたとたん、身を乗り出して手をたたいていた(ちょっとびっくりした)。もしかして、戦後まもなく進駐軍のバンドが何かで聞いた青春の一曲だったりするのかもしれない(そういう連想ができるぐらい、歴史のあるバンドと曲でもあるのだ)。ビッグバンドの歴史と日本人との接点を数え上げてみるのも面白いだろう。
ついでに、年末に来日するカウント・ベイシー・オーケストラも聞きに行きたいなあ…

終了後、ロビーのCD売り場でポール・マーサー・エリントン(デューク・エリントンの孫だそうだ。指揮者。)にサインをもらう。CDをよく見ると"PME Music"と書いてあって、なんだか自主制作っぽいところが面白い。

これだけ楽しんで3150円+CD2500円。すばらしくお買い得な1日。

(2006.10.28 武蔵野市民文化会館)


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0