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南川高志「マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国」(岩波新書、2022) [本と雑誌]

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「自省録」ファンにはいろいろなタイプがあるのだろうけど、歴史好きから「自省録」にアプローチしてきたファンは、当然にローマ時代についての知識の上で「自省録」するのだと思う。だが、そうした前提を欠いた、つまり歴史の知識も哲学の知識も欠いた、自分のような唐突な「自省録」ファンは、エピクテートスやセネカとの共通点や相違点を意識することはあっても、この思想が編まれたローマ時代がどのような時代であったかをあまり意識することがない。そこを埋めてくれたのが本書。

プロローグでこれまでのマルクス・アウレリウス研究について紹介する中で、ご存じ神谷美恵子訳『自省録』に言及されていて、
(以下引用)
「神谷訳は、ギリシア哲学を専門としない方の作品であるが、日本で初めてのギリシア語原典からの訳である。今日ではそのギリシア語の解釈や哲学用語の取り扱いに意見があるのを私は承知しているが、『自省録』の神谷訳を読んだことがローマ帝国史研究を始めるきっかけとなったので、本書でも神谷訳に拠りながら語りたい。(p.7)
(以上引用終わり)
とある。ここにも1人、神谷訳「自省録」で人生が変わった人がいるわけですね(って、変わったどころかそれを職業にされているのだから、自分とは比較にならないけど)。

 


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