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角幡唯介『空白の五マイル』(集英社文庫、2012) [本と雑誌]

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著者は多くの作品で、「冒険とは何か」を問いかけたり、あるいは自問したりしていて、時としてそれは非常に過激な中間的結論になったりすることもあるが、省察の過程を経て、また別の結論に落ち着いたりする、その行きつ戻りつが面白い。

本書で描かれたような高リスクな行動のみが冒険だとすると、世の中の99%以上の人は冒険と無縁な存在ということになるが、それはさすがに、冒険の定義として狭すぎるのではないだろうか。いくぶんのリスクを含んでいれば、それは(程度の差はあるにしても)その人にとっての冒険だと定義するのは、生ぬるいのだろうか。

もう一つ、これは全く異質な感想になってしまうが、地上最後のunknownな領域といいながら、その周辺にはいくつもの村や廃村があり、人が住んでいるまたは住んでいた(空白の五マイルについても、日常的な往来こそないが、地元民にとっては決してunknownな領域ではない)という点が不思議に感じられる。「アグルーカの行方」でも同じことが起こるのだけど。


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