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川端康雄『増補 オーウェルのマザー・グース』(岩波現代文庫、2021) [本と雑誌]

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何度も読んだつもりでいたオーウェルの小説、たとえば『1984』を、専門家はこういう切り口で読むのですね。たしかにこういう場面はあったけど、それ以上何も考えなかった自分が、ストーリーを追っているだけだったことを痛感。

あとは、オーウェルが生涯にわたって追求したdecencyと、イギリスのさまざまな文物への執着がどういう関係にあるのか、すっきりと説明してくれたことに感謝。これで落ち着いてオーウェルの著作が読めるような気がする。なお、この章で紹介されている「一九七〇年代にジュラ島を訪れたオーウェル研究家が、現地で知り合った電気工事人から聞いたオーウェルの思い出」が非常に印象的で、この部分(孫引きになってしまうので紹介しないが、441頁)だけでもこの本を読む価値があると思う。この時代にはまだ、オーウェルとやりとりをしたことのある人物が存命だったのですね。そうであれば、調査や探求もやりがいがあったことだろう。
 
 
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