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福音館書店母の友編集部編「ぼくのなまえはぐりとぐら-絵本『ぐりとぐら』のすべて」(福音館書店、2001) [本と雑誌]

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郵便局の前を通りかかると、ちょっとした行列が。
ちょうど用事があったので列に続いて入ってみると、みなさん郵便窓口へすすんでいく。「ぐりとぐら」の切手を売っている。ついつい買ってしまう。

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さて本書は、福音館書店の超ロングセラー「ぐりとぐら」誕生のいきさつと、日本や海外の読者に受け入れられていった過程を紹介している。今まで勘違いしていたのだけど、「ぐりとぐら」より先に、これまた名作である「いやいやえん」があったのですね。こどもが読む順番だと、「ぐりとぐら」→「いやいやえん」になるので。

著名人による「ぐりとぐらへのトリビュート」も収録されているのだけど、なぜ「ぐりとぐら」に惹かれるかを説明するのに、みなさんかなり苦労されている。そこで自分も、試みに説明を。

自分が同時代で知っている「ぐりとぐら」は、第1作「ぐりとぐら」(1963)の傑作集版(1967)と、第2作「ぐりとぐらのおきゃくさま」(1966)だけなのだけど、この2冊を初めて読んだときの興奮は、今でもよく覚えている。その興奮を個別の要素に分解していくと、
 ・狭い場所、小さな場所にみっしり細かいものがつまっている感じ
 ・色遣いの上品さ
 ・文がもつ独特のリズム感(七五調ではない!)
 ・おいしいカステラの存在
といったことになるのではないかと思う。
そういう要素をもったこどもの本って、むろん数多くあると思うのだけど、半世紀を経てなお本シリーズが読み継がれているのは、これらに加えて
 ・ぐりとぐら以外の「住人たち」にそれぞれ持ち味があり、それらが序列や諍いなく共存している
ということがあるからではないかと。

また、「ぐりとぐら」に添えられた付属冊子「まず絵本を読むまえに」には、編集者松居直さんのこんな一文があるという。
(以下本書65頁から孫引き)

「絵本をかくということは、人間に対する深い信頼がなくてはできません。(中略)この絵本は、いろいろな意味で、日本の現在の絵本界に一石を投じると思います。何よりも子どもたちが大喜びしてくれるでしょう。」

(以上引用終り)
この自信はやはり、石井桃子さんや瀬田貞二さんたちとともに、日本に「こどもの本」というジャンルを切り開いてきたという自負からくるものだと思うし、事実そのとおりの展開になったわけで。

そういえば、本書にはフライパンでつくるカステラのレシピが載っている。試してみなければ。



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