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何でもあり…なわけがない(1/13) [皿回し]

都内某所で、定年退職される先輩の送別会。

話がはずみ、アメリカに端を発するこのところの実体経済の混乱ぶりに話題は移っていく。雇用調整ってのは、一企業の行動だけみると合理的でも、その速度が急激すぎると、経済全体足し上げたときにかえって混乱を増幅する。だから給与所得者の何割かが非正規社員っていう状態は、こうした合成の誤謬ともいえる状況を考えると、よくないよねぇ…という、まぁよくある話。

ところが、別の先輩が一杯機嫌で「でもさぁ、資本主義ってもともと何でもありなんだから、法にふれるようなことでなければ、何やってもいいんじゃないの?」と言い出す。まぁそういう部分もあるけどさ、と受けながらなおも話は続いていくのだけど、あまりに何度も「もともと何でもあり」を繰り返すので、こちらもしだいに腹が立ってきた。

「資本主義が“もともと”何でもありって、そんなわけないっしょ。“今の”資本主義が何でもありになっているって話ならわかるけど。カトリックに対する異議として登場したプロテスタントは、勤労を通じた蓄財を肯定したけど、それはキリスト教の枠組みのなかでの話なんだから、資本主義が“もともと”社会や共同体の存在を無視したものであるはずがない。現にマックス・ウェーバーは資本主義からそうした背骨が失われて変質していくことに、危惧を表明しているじゃないすか(=プロテスタンディズムの倫理と資本主義の精神)。社会的枠組みや規制を無視した資本主義なんてものは、理念的にはありうる(アナルコ・キャピタリズム)けど、アメリカはともかく、少なくとも欧州のメンタリティーからは、受容されるものじゃないでしょ」

ありゃりゃ。先輩相手に吹っかけてしまったよ(powered by alcohol)。でもまぁいいや。ついでに言っちゃえ。

「そのいい例がサッチャーで、“社会というものは存在しない。あるのは個人と家庭だけだ”という彼女の発言は、西部劇ならよかったんだろうけど、イギリスの社会からはすごい反感を買ったわけで。だから彼女は、いまだにオックスフォードから名誉博士号が貰えないじゃん(オックスフォードやケンブリッジは慣習として、卒業生が首相に就任すると名誉博士号を贈る)。…まぁ、あれはその発言のためというより、高等教育に市場原理を持ち込みまくったからだろうけど」

…とか言っているうちに、みんなアルコールが入っているので、なんとなくうやむやになる。


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