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意味不明 [俳句]

俳句をあつかうブログを散歩していたら、こんなん発見しました。
http://moon.ap.teacup.com/tajima/364.html

(以下引用部分)
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【勝手に句評】

戦車から糸の出てゐる二月かな 大石雄鬼

「戦車」と「糸」。この二物が、同じ舞台に上がることを、意外なイメージだと感じてしまうことで、いかに自分たちが「戦車」から固定したイメージを(それは、あるいは、戦争の「悲惨さ」や「陰惨さ」という言葉)持ってしまうか、ということを思い知らされる。「戦車」と「糸」が同じ世界に共存している、ということが、本当に「リアリティ」があって、世界の尊さを感じさせる。もちろん、二月という鋭い季節感が、句全体の緊張感を構成していることも、言い添えておく。

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(ここまで引用部分)

…はぁ?
200字強のこの文章のうち、意味がわかるのは冒頭の「戦車と」から「感じてしまうことで」まで。
あとはまったく意味不明。 というか、これほど爽快なまでに意味不明な文章も珍しい。
作者と評者の両方にお聞きしたいのだが、

・この句が描いているのは,たとえばどんな風景ですか?
・この句のなかで「二月」はどういう働きをしているのですか?
・戦車と糸が同じ世界に共存すると,なぜ世界の尊さが感じられるのですか?
・「本当に『リアリティ』があって」の根拠は?
・「二月という鋭い季節感」とはどういう意味ですか?

ぜひ,普通の日本語で教えてもらいたいものだ。まさか、「季節感に無関係なところで,ことばの順列組合せではしゃいでしまいました」なんて言い出さないよね。
それとも、この文章全体が「ほめ殺し」なんだろうか。あるいは,エイプリルフール?

話はまだ続く。
この作者はまた、別のところでこんなことも述べている。
(以下引用部分)
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「この句には、意味という価値はないんだよ」という「意味の意味」をメッセージとして付加する、いわゆるメタメッセージ付きの句です。
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(ここまで引用部分)

あーつまり、ここでは、意味の有無を(ましてその内容を)基準に俳句を論じてはいけないらしい。俳句は意味不明でもいいんだ。へぇ。
俳句が意味を持たないなら、意味が理解されることを前提とした「鑑賞」も「句評」も「句会」も不要になる。それを無理やり句評しようとすると、冒頭のような物言いになるわけですか。

たぶん、このブログの作者がいいたいことは、季題にせよそれ以外の部分にせよ、一つ一つのことばが世間的にもつ意味を自明のこととして寄りかかりすぎるのは安易じゃないか、ということだと思う。それにしたって、「意味という価値がない句」まで行ってしまうと、じゃあそれ以外にどんな価値があるのか、と聞いてみたくもなる。
そうじゃなくて、一つ一つのことばをもう一度洗い直し、より適切なものを求めて吟味していくしかないでしょう。意味から切り離してしまったら、言葉の戻る場所がなくなってしまうのだから。


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