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高殿円「トッカン―特別国税徴収官―」(早川書房) [本と雑誌]

つまらなくはないのだけど,いただけない。

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長年「本の雑誌」に携わり,目利きとしても信頼される吉田伸子氏が「今年度のお仕事小説ベストワンはこれで決まり!」と激賞していたので買ってみたのだが…

主人公の動作や考え方が「説明」になってしまっているため,小説の中に入り込めないこと,また上司のスーパーマンぶりの度が過ぎて,鼻白んでしまうこと。問題はこの2点につきるが,この2点で十分だろうという気もする。この種の小説で楽しめる場合って,それ以外の人物も楽しく描けているものだが,職場の先輩の男性や女性,ライバルの女性などの描写がちっとも面白くないところも困りもの。

ただ,読み手が受験生とはいえ皿回し業界にかかわっている特殊事情もあるので,その点を差し引いて読めば純粋に楽しめるのかもしれないな~とも思うが,それでも(いや,かえって)ちょっと苦しいと思う。

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