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石井桃子展(3/28) [本と雑誌]

お芝居がはねてから宴会までの2時間で、あわただしく新宿・芦花公園間を往復。

石井桃子展1.jpg

「くまのプーさん」にしても「うさこちゃん」にしても、あの独特の日本語が今も忘れられないという人は多いと思うのだが、それは単なる独創とかいう代物ではなく、本が出版されたあとになっても、「よりこなれた、こどもに通じやすい日本語を求めて」版面に執拗なまでに書き込みがされていることに息をのむ。それも、一冊や二冊ではなく、ほとんどすべての作品についてそれを続けていたとさえ思える。

また、90歳代なかばになっての翻訳でも、わからない部分をノートに書き抜いて原作者を知る人に尋ねた書簡の往復が残されており,文面をみてみると、自らの仕事に対する誠実さと読み手に対する誠実さに本当に頭が下がる。それは明らかに、お金のためでも名誉のためでも自己満足のためでもなく、「この本の(あるいはこの文の)よさが、どうすれば子どもに伝わるか?」という一点にすべてを捧げていることが明らかだからだ。

この年となっては、もはやそれらを懐かしむことに意味はない。今もっと強く感じることは、石井桃子さんが私たちの世代にもたらしてくれたものの何百分の一でも、自分たちは次の世代にもたらすことができるのだろうか?ということだ。とりあえず皿回しがその範疇に入らないことは明らかだが、皿回しを片付けて(いつ?)、そのあとの時間でやるべきことを通じて、わずかでもそれが実現できればよいのだけど。

石井桃子展2.jpg

(2010.3.28 世田谷美術館)
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