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由比ガ浜の古本屋 [俳句]

タイトルがオチになってしまっていて、なんとも締まらないのだけど。

高浜虚子の「句日記」を買った。
(ご存じの方には今更だけど、虚子『句日記』は6冊あって、今回もとめたのは昭和35年に新樹社から出た最後の1冊)
いつもは「日本の古本屋」というサイトで買うのだけど、今回はそちらに該当がなくて、アマゾンに出品されていたものを買った。

届いた本を見てみると、49年前の本とは思えないぐらい保存状態もよく、デザインも上品。もっとも、この「句日記」が刊行されたのは虚子が亡くなった翌年の昭和35年6月だから、虚子自身が装丁にかかかわったわけではないけど。

句日記1960.jpg

しばらく読みふけってから本棚にさし、送られてきた封筒をふと見ると、出品者の住所が。
「鎌倉市由比ガ浜3-xx-xx」

え?!

個人名ではなく商号が記されているけど、住所はアパートの1室になっているので、店舗ではなく、事務所兼倉庫兼自宅になっているのだろう。
それにしても由比ガ浜って…
これまた今更だけど、高浜虚子の住まいは由比ガ浜。日本中に何軒の古本屋があるか知らないが、よりによって由比ガ浜の古本屋から虚子の本が送られてくるって…
  
(5.17追記)

この記事をお読みになった方から、虚子「句日記」って6冊で生涯を網羅しているの?という問い合わせをいただいた。

虚子についてきちんと勉強や研究をしていない私が講釈をたれる資格はないのだけど、検索でこのページにたどり着いた方もおられると思うので、調べものの便宜のために一応書いておくと、五句集は別として、虚子の句を日付順にまとめたものは「年代順虚子俳句全集」4冊、「句日記」6冊の計10冊ある。句が詠まれた順にいうと、

(1)『年代順虚子俳句全集第一巻 明治時代(上)』昭和15年2月 新潮社(明24〜34)
(2)『年代順虚子俳句全集第二巻 明治時代(下)』昭和15年6月 新潮社(明35〜45)
(3)『年代順虚子俳句全集第三巻 大正時代』昭和15年11月 新潮社(大元〜15)
(4)『年代順虚子俳句全集第四巻 昭和時代』昭和16年3月 新潮社(昭2〜5:句日記の前まで)
(5)『句日記』昭和11年11月 改造社(昭5〜10)
(6)『句日記』昭和17年3月 中央出版協会(昭11〜15)
(7)『句日記』昭和22年1月 創元社(昭16〜20)
(8)『句日記』昭和28年7月 創元社(昭21〜25)
(9)『句日記』昭和33年4月 新樹社(昭26〜30)
(10)『句日記』昭和35年6月 新樹社(昭31〜34年3月)

となる。
虚子は昭和6年以降、前年同月の句を毎月の『ホトトギス』に「句日記」として発表するようになったためで、それを単行本としたものが『句日記』である(刊行順だと(5)が最初で、そのあと「年代順虚子俳句全集」が続く)。

また(10)のうち昭和33年5月までの分は上に述べたように『ホトトギス』に発表されたものだが、同6月以降の分は虚子が亡くなった後、ご子息の高浜年尾氏が「適宜父の句帖より抽出した」ものである。

句日記1947.jpg
句日記1958-1.jpg句日記1958-2.jpg
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