SSブログ

バリスタのベストヒットBook [本と雑誌]

IMG_5586.jpg

うーんこの。
本屋でアルバイトをしたことはない。スタバでアルバイトをしたこともない。だから、本屋の中のスタバでアルバイトをするのがどんな感じなのかきちんと理解できるわけではないのだけど、どことなく心躍る経験であるような気がする(気がするだけだが)。

で、本屋の中のスタバで働くスタッフが、今年読んで一番面白かった本を店頭に掲示するというのは、そういう立地ならではの面白い企画なわけで、自分だったら何を書くだろうか、と考えるのだが、この「2021年 バリスタのベストヒットBook」を見ると、どうもその、なんというか…

画像が小さくてよくわからないので、タイトルだけ挙げておくと、
「木曜日にはココアを」
「居酒屋ぶたぶた」
「しろくまのパンツ」
「嫌われる勇気」
「反応しない練習」
「どんなにきみがすきだがあててごらん」


nice!(0)  コメント(0) 

田中真知『旅立つには最高の日』(三省堂、2020) [本と雑誌]

20211005.gif

「見えている風景が違う」という言葉があるように、同じ旅をしていても感じ方が違うなんてことはざらにあるけれど、この本を読むと、本当に見えている風景自体が違うのではないかと思わせるものがある。

 さらにいうと、仮に見えている風景や感じ方までは同じだったとしても、それを記述する力が全然違う(自分はもちろん遠く及ばないのだけど、上とか下とかではなく、この人のように記述することは難しいという意味)と感じる。田中真知さんと蔵前仁一さんが同じ旅をしたら、どちらも楽しい、しかし全然違った旅行記が二冊できるのではないだろうか。

 また、この本の隠れた主題である「親との関係」は、直截に「だから旅に出るのだ」などとは書かれていないけれども、親との関係が、その人が旅に出る理由や、その人の旅の様式や方法に影響する要素であることを改めて思い出させる。

 
nice!(0)  コメント(0) 

砥上裕将『7.5グラムの奇跡』(講談社、2021) [本と雑誌]

20211120.jpg

『羊と鋼の森』を連想させる、爽快感のある青春小説。ひんやりとした北国の小都市を連想させるところも似ている。兄貴分にあたる剛田さんはじめ、登場人物もキャラが立っていて、テレビドラマの脚本のようでもある。
少し出来過ぎかもしれないが、物語の初めに出てくる「倉田さん」と最後にふたたび交わす会話が、地味ながらいい。

 
nice!(0)  コメント(0) 

角幡唯介『空白の五マイル』(集英社文庫、2012) [本と雑誌]

20211121.jpg

著者は多くの作品で、「冒険とは何か」を問いかけたり、あるいは自問したりしていて、時としてそれは非常に過激な中間的結論になったりすることもあるが、省察の過程を経て、また別の結論に落ち着いたりする、その行きつ戻りつが面白い。

本書で描かれたような高リスクな行動のみが冒険だとすると、世の中の99%以上の人は冒険と無縁な存在ということになるが、それはさすがに、冒険の定義として狭すぎるのではないだろうか。いくぶんのリスクを含んでいれば、それは(程度の差はあるにしても)その人にとっての冒険だと定義するのは、生ぬるいのだろうか。

もう一つ、これは全く異質な感想になってしまうが、地上最後のunknownな領域といいながら、その周辺にはいくつもの村や廃村があり、人が住んでいるまたは住んでいた(空白の五マイルについても、日常的な往来こそないが、地元民にとっては決してunknownな領域ではない)という点が不思議に感じられる。「アグルーカの行方」でも同じことが起こるのだけど。


nice!(0)  コメント(0) 

アリソン・アトリー/上條由美子他訳『農場にくらして』(2000、岩波少年文庫) [本と雑誌]

20210428.jpg

見返しに手描きの地図がほしいところ。ミルンの「くまのプーさん」や、ランサムの「ツバメ号とアマゾン号」シリーズなどの魅力の一端は、その地図にあるので。

それはともかく、ここに書かれていることって、ことごとく季節の話であって、著者がひとつひとつの事物を描写するさまは、俳人が季題を見るのとちっとも変わらない。五七五になっていないことを除けば、一冊まるごと俳句であるとさえ言える。

あと、これはいつごろの話なのか考える。しぼった牛乳を鉄道で出荷する話が出てくるので、少なくとも鉄道があること、ヴィクトリア女王やグラッドストンが出てくるので、まあ19世紀末だろうと。同時代のひとびとには、この両者の不仲は知られていたのだろうか。
 
nice!(0)  コメント(0) 

時刻表完全復刻版 1964年10月号(JTBバプリッシング、2019) [本と雑誌]

20200807.jpg
 自分が最初に読んだ「時刻表」は1968年10月号、いわゆる「ヨン・サン・トオ」改正の時刻表で、それより前の時刻表は復刻版でしか知らない。また実景としても、1967年以前のことは覚えていない。だから、この1964年10月号を読んでも、「へーそうなんだ」とは思うけど、懐かしいという気持はまったく湧かない。その点、同時代で1964年を知っている人が読むのとは違った味わい方になる(ちなみに1964年9月号の復刻版も出ている)。

その上で、思いつくままに感想を挙げると、
・長距離の普通列車がたくさんあったのですね。自分もその後、そうした列車に乗って大いに楽しんだのだけど。
・東海道本線の昼の時間帯に、優等列車がたくさん走っていたのですね。東海道新幹線開業と同時に一挙に消滅したわけではなく、時間をかけて減っていったということですね。
・北海道の鉄道の充実ぶりがすごいですね。また、北海道の鉄道の中心は札幌ではなく函館になっているのですね。
・地方私鉄、それも面白そうな地方私鉄がいっぱいあるのですね。

といったところだろうか。こんな時代に周遊券で旅行ができたら、楽しかっただろうな。
 

nice!(0)  コメント(0) 

ベア・ウースマ『北極探検隊の謎を追って』(ヘレンハルメ美穂訳、青土社、2021) [本と雑誌]

20210624.jpg

久しぶりの一気読み。

この探検隊自体をまったく知らなかったのだけど、ナンセンと同時代にこんな挑戦をした人たちがいたのですね。それからおよそ100年遅れて、著者はふとしたきっかけから、とりつかれたように「この探検隊に何が起こったのか」を追究するのだけど、大筋を保持しながらdetailにも入り込んでいく感じがちょっと歴史人口学的というか、わが師匠の流儀というか。半ば冗談のように、この追究のために、わざわざ医学の道に入ったと読める記述があり、それができてしまう著者に驚くとともに、そこまで駆り立てるほどの謎って何なのだろうと率直に感銘を受ける。

著者が到達した結論は、あっと驚くようなものではないので、この探検隊のいきさつが、かの国ではたいへん有名な史実だそうなのだから、そういう説がすでに唱えられていてもおかしくないように思うのだけど、どうも一度も唱えられていないようで、ちょっと不思議ではある。

また、原文がそうなのか、訳者の腕前なのかはわからないのだが、ノンフィクションでありながら高度に詩的というか内面に立ち入ったというか、単なる事故調査委員会報告書のようなもの(いや、あれはあれで非常に読みごたえのあるものだけど)になっていないことも、好き嫌いはあるだろうが本書の魅力の一つになっている。
 
 


nice!(0)  コメント(0) 

蔵前仁一『失われた旅を求めて』(旅行人、2020) [本と雑誌]

20210531.jpg

プルーストの『失われた時を求めて』とは別の本です…って間違える人はいないか。

ずっと旅行者(非常勤?の旅行者だが)をやっていると、確かに「その後全然別の姿に変わってしまって、もう行きようがない場所」や「状況が変わってしまって、そこに行けない場所」がいくつも出てくるのだけど、それを(ほぼ)自分と同時代で示してくれる一冊。私にはインドのことはわからないけど、1980年代前半の中国って、たしかにこんな感じだったなあと。この著者と同時代にバックパッカーをやっていたおかげで、自分で一から説明しなくてもこのような記録にめぐりあうことができたことに感謝したい。

また、同じように現在から将来方向へ眺めてみれば、いま何気なく行っているけれども、将来は全然別の姿に変わってしまう可能性が高い場所とか、なんらかの事情で近寄れなくなってしまう場所もあるはずで、そう考えると、旅行者が目にするものってずいぶんいろいろな条件に制約されるのだなあと思う。

 


nice!(0)  コメント(0) 

村井理子『兄の終い』(CCCメディアハウス、2020) [本と雑誌]

20210429.jpg

人がどんな人であるか(あったか)は、体重計の数値のように客観的に計測することはできないので、周囲の人との間に何が起こり、周囲の人がどう感じたかから導くしかないのだろうけど(三浦しをん「私が語りはじめた彼は」)、それが一人の人のなかで、さまざまな事実に触発されて起こるところにこの本の味わいがある。多くの読者が、自分だったらどうだろうと考えながら読むのではないだろうか。


nice!(0)  コメント(0) 

松本創『軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い』(新潮文庫、2021) [本と雑誌]

20210415.jpg

敵味方とか、悪者対正義の味方とか、善悪二元論でしか世の中を見られない人は少なからず見かけるのだけど、そういう人にとって、この本はつまらないことだろう。
しかし、そういう構図を使わずに話をつめていこうとすると、敵味方じゃないだけに話は一直線には進まず、三歩進んで二歩後退するみたいな経過をたどるし、メデタシメデタシにはならないし、同一人物の発言のなかにもさまざまな矛盾が現れたりするので、読み手にもそれなりの我慢が要求される。そこに本書の価値があるように思う。

また本書では、何人かの重要人物について聞き書きをしており、この聞き書きが重要だと思う。特に、この会社の「天皇」とも評される人物の談話は、他に2人の記者が同席している場での話なので信憑性が高く、従って資料的価値という点でも本書には意味があると思う。


nice!(0)  コメント(0) 

日下三蔵編『狂った機関車 鮎川哲也の選んだベスト鉄道ミステリ』(中公文庫、2021) [本と雑誌]

20210329.jpg
うーんこの。読む前には想定していなかった感想が。

コナン・ドイルの「シャーロックホームズの冒険」シリーズに描かれているイギリスは、ヴィクトリア時代のイギリスだと思うのだけど、ヴィクトリア時代について何も知らなくても、十分楽しむことができる。

他方、この本で紹介されているミステリは、いずれも戦前から戦後まもなく書かれたものなのだけど、いま読んでみると、ひどく古めかしいというか、すっと入り込めないものを感じてしまう。特に、ホワイダニット(犯行の動機)の部分がよくわからない。
またどの作品も、発表された当時は随所に最新の習俗を取り入れたものだったと思うのだけど、それが仇になったというか、最新式であることが価値の中心を占めた結果、最新式でなくなった瞬間に価値が暴落したというか。

この本で一番関心を惹かれたのは、編集者には申し訳ないことだが、表紙の写真だ。薄暮のころ、雨に濡れた島式ホームの片側に101系だか103系だかの電車が入ってきて、もう片側には2軸貨車を連ねた貨物列車が止まっている。隣のホーム(たぶん)には、2扉と3扉の旧型国電が止まっているという風景。けっこう珍しい組み合わせと思うのだけど、これはいつ、どこの駅で撮影された写真なのだろう。

 
nice!(0)  コメント(0) 

伊吹有喜『犬がいた季節』(双葉社、2020) [本と雑誌]

20210302.jpg

始まりかたと終わりかたが反則というか…
当方の弱点を的確についているというか…

本屋大賞ノミネートも、宜なるかな。
こういう本を売りたいと考える書店員さんが数多くおられること自体、とてもうれしい。

思うに、第5話までをひとつの小説として、そこで終わってもよいのではないかと。
最終話は最終話で、もう一つの物語としてとても楽しめるのだけど、最終話がないとしても、読者の想像力に委ねて第5話で終わるやり方もあるのではないかと思う。何もかも説明しなくても、318-319ページのエピソードから、読み手は余白を埋めていくことができるので。

 


nice!(0)  コメント(0) 

アンドレアス・レダー『ドイツ統一』(板橋拓己訳、岩波新書、2020) [本と雑誌]

20210204.jpg

書かれていることは事実だろうと思うし、流れを大づかみにするためにはとてもよい本だと思う。また、旧西独側からこのように見えることも理解できる。

不満というわけではないが、引っかかるのは、「旧東独の経済的な行き詰まりはきわめて深刻で、経済的崩壊は偶発的なものではない」としておきながら、肝心な部分を、コールやゴルバチョフといった「英雄たち」の歴史として書いている点。歴史にifはないが、出発点の状況をふまえれば、コールやゴルバチョフといった役者が現れなくても、ほぼ同じように東独は崩壊したことになるのではないだろうか。それとも、英雄たちのおかげで、混乱が最小限で済んだということなのだろうか。

それはともかく、私が読みたいのは、英雄たちの歴史でもなく、旧東独の人びとの「お気持ち」でもなく、旧東独の人たちの「ライフ」がどう変わったかという点だ。平均寿命、出生率や死亡率、世帯規模、初婚年齢、失業率、毎日の睡眠時間…といった客観的に計測可能な指標が、1990年以前と以降でどう変わったのか、変わらなかったのか、それを知りたい。これは、この本が足りないというより、「こういう歴史が読んでみたい」という当方の勝手な希望によるものだが。

笑えるのは、「「異なる考えをもつ者は敵である」というのが国家保安省のモットーであり、」というくだり(17頁)。こういう発想って、旧東独に限らない話というか、敵か味方かでしか考えられない(ので、まともな議論ができない)人って至る所にいますね。

あと、文意が不明な箇所が1点。「もっぱら債務をストップするだけでも、一九九〇年には生活水準の二五〜三〇パーセントの低下が必須であり」(15頁)って、債権や債務って「ストップ」できるものではないでしょう。債務の弁済ならストップできるけど。ここはどういう意味なのだろう。教えてジェネラル!

  

nice!(0)  コメント(0) 

松岡享子『子どもと本』(岩波新書、2015) [本と雑誌]

  20210122.jpg

「こういう志をもった人には、不思議とこういう出会いがあるのですね」「紆余曲折があっても、やはりこういう志をもった人はそういう場所にたどり着くのですね」という相矛盾するふたつの感想が同時に浮かぶ。戦中戦後のエピソードがどれも、エッジが立っているというか、この人にしてこのエピソードありという感じなのだ。

 ああそうか、言われてみればその通りだと感心したのは、読み聞かせることと、自分で文字を追って読むことは、いわば別のことがらであって、自分で文字が読めるようになったとしても、子どもがいやがるようになるまでは読み聞かせる意味があるのだ、というくだり。くわしくは本書79-86頁を。

 
nice!(0)  コメント(0) 

追悼・安野光雅さん [本と雑誌]

「こどものとも」で読んだ『さーかす』『ふしぎなえ』に始まり、大人になってからは『旅の絵本』を楽しませていただいた身としては、大変残念。
絵本だけでなく、「暮しの手帖」に連載されていた随筆(タイトルを失念した)は、この方の剛毅な一面を理解するのに十分なもので、もう新しい文章が読めないことが、重ねて残念。

 
nice!(0)  コメント(0) 

吉玉サキ『山小屋ガールの癒されない日々』(平凡社、2019) [本と雑誌]

20201123.jpg

腰巻きには「山の上での想定外の日常」とあるけど、むしろ「山の上にも、下界と同じようなあれこれがある。しかし山の上であるがゆえに、それが違った現れかたをしたり、違った趣きをともなってくる」のがこの本の面白いところではないかと。長すぎて腰巻きには書けないが。
あなたの知らない山小屋のヒミツ教えます、的な本だったらどこにでもあるし、「ふーん」で終わりなのだろうけど、山小屋で働いている人たちにも自分(たち)と同様の喜怒哀楽があることを知って、読者はさまざまに考え、また共感するのではないだろうか。

この特長をもう少しくどく言えば、下界にいろいろな人がいるのと同じように、山の上にもいろいろな人がいるということ、また、この作者の視点が、マウンティングや値踏みから距離をおいたところにあって(そのような視点は、誰にでも備わっているものではない)、それがこの描写を納得感のあるものにしているように思う。さっと読める割に深い味わいのある一冊。

 
 
nice!(0)  コメント(0) 

『黒と白のはざま』(ロバート・ベイリー/吉野弘人訳、小学館文庫、2020) [本と雑誌]

20201207.jpg

第2作も文句なく楽しめる…というか、展開がうっすら予想できても、法廷シーンは手に汗握るものがある。これは判事・検察官・弁護人の三者いずれの言動もきちんと書き込まれ、読者の脳内に三者がくっきりと再生されているからだと思われ、法律家が書いた小説ならではと思う。

他方で、裁判とその直後のあれこれがよくできているだけに、その後に(最後に)起こるできごとは、うーんこういう決着の付け方しかないのかしらと思わせる。もう少し言えば、前作で感じた、「やたらと人が死ぬ」という点が相変わらずであることに加えて、法律家がこれだけ何人も出てきて、それでなお、この決着の付け方なのかしら、という点。

でも、第3作が出たらぜひ訳してほしく、即買い決定であることに変わりはないのだけど。
…と書きながらウェブを漁っていたら、1月4日に第3作『ラスト・トライアル』が発売とのこと。これは買わねば。でも、「ラスト」トライアルということは、第3作で終わってしまうのか?

 

nice!(0)  コメント(0) 

『精選版 日本国語大辞典』iOS版(小学館/物書堂) [本と雑誌]

20201219.png

電子書籍は買わないし、端末も持っていないのだけど、スマホに入れてつかう辞書に限っては、これこそ辞書本来の姿だと言い切ってもいい。というか、紙では事実上できなかったことがこれで可能になるわけで。
いつでもどこでも検索できるから、ふと思い浮かんだことば、気になったことばを、その都度検索できる。その便利なことといったら。辞書はひいてナンボなので、購入するときには随分高価だなあと思ったけれど、1年もしないうちに元が取れた感じ(履歴をみると、ずいぶんたくさんの言葉を検索している)。

内容についていうと、語釈のよしあしを論じる知識はない(あるわけない)のだけど、用例、それも最近の用例でなく古い用例を示してくれるのがとてもありがたい。明治時代につくられた言葉なのか、日葡辞書に載っている言葉なのか、それとも上代から使われている言葉なのか、それがわかるだけでも価値がある(こういうところは、OEDに通じるものがある)

nice!(0)  コメント(0) 

『ザ・プロフェッサー』(ロバート・ベイリー/吉野弘人訳、小学館文庫、2019) [本と雑誌]

20201025.jpg

アラバマ州がどんなところか知っていればいっそう楽しめたのかもしれないが、いや、知識皆無に近い自分でも十分楽しめた。小説とはいえ、こういうストーリーってありうるのですね。最後の20ページぐらいは、どうにも止まらない緊迫感とカタルシス。

しいて残念な点をあげれば、悪党がわかりやすすぎる悪党(どこからどう見ても悪党)であるところと、人が死にすぎるところか。

作者はこれがデビュー作だというのも驚き。ぜひ2作目以降も読まないと。明日本屋さんに注文してきます。

 

nice!(0)  コメント(0) 

ロバート・ウェストール/金原瑞人他訳『水深五尋』(岩波書店、2009) [本と雑誌]

20201119.jpg

何が正義なのか自分の頭で考えようとする姿勢や、正義が相対的なものにすぎないことを理解した上でのふるまい方がいいですね。
そして何よりも、スカッとした終わりかたをしないイギリス的な結末というか、「ブラッカムの爆撃機」にも通じるあとあじの悪さ(ほめている)が、いかにもこの人の作品らしい。ちなみに『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店、2006)の冒頭に収められた宮崎駿「タインマスへの旅」を併せて読むのがおすすめ。

それにしても、タグボートが貨物船を曳航している状態で、貨物船が攻撃を受けたら、タグボートだけ無事で済むものなのだろうか??

 
nice!(0)  コメント(0)