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2019・第6回びわ100参加の記録②当日編 [ウォーキング]

(①準備編から続く)

目覚めると晴れ間がのぞいていて、もしやと希望を抱かせるが、天気予報をつけてみると、むしろ午後から宵の口までずっと雨との無情な宣告。さらに気温高めというダブルパンチ。まあ、この天気図ではどうにもならない。きょうは1日かけて停滞前線を味わう日になりそう。

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宿の食堂で朝ごはんをつめこむ。隣のテーブルの宿泊客からは、炭水化物をひたすら摂取する気色の悪いおっさんに見えたことだろう(炭水化物を摂取しなくても、気色の悪いおっさんには違いないが)。
湿度は100%近く、真夏用の上下にレインウェアを重ね着すると、歩く前から既に暑い。また、防水でない靴を持ってきてしまったので、途中で浸水することは明らか。一応の対策として簡単なシューズカバーをかけるが、これでどこまで浸水を先延ばしできるか…せめて20kmぐらいまでもってくれるといいが。
また、バックパックの上からレインウェアを羽織ると、中味の出し入れが面倒になるのも困るところ。ハイドレーションには紅茶1.2リットルを入れる。

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・0km スタート地点で受付後、開会式。100人足らずなので、受付も実行委員長挨拶も伝達事項もラジオ体操も記念写真もあっさり終わってしまい、予定の13時を7分半ほど繰り上げてスタート。たとえ7分半でも、明るいうちに歩く時間が長くなるのはありがたい。スタートしてすぐのところで、犬を連れた年配の方が「全員完歩」の幟を並べて応援してくださる。
アスリートコースと称するだけあって、あっという間に半分ぐらいの選手が見えなくなってしまう。この人たちに無理についていこうとすると後で体力が尽きてしまうので、自重しなければと思いつつ、1kmあたり10分ぐらいの早いペースで歩き始める。
今回の目標は、20時間を切ること。単純計算では、1kmあたり12分のペースでずっと歩けばよいのだが、コースに1.4kmのおまけがついているので、その1.4kmに必要な時間を考慮に入れると、19時間40分ぐらいで100km地点に到達していないと、20時間は切れないことになる。

・10km スタート直後に天気予報どおり降り始めた雨が、本降りに変わる。彦根城の周囲の狭い歩道にさしかかり、傘をさしている旅行者のみなさんと接触しないように歩くのが一苦労(むこうから見ると、大雨のなかをレインウェアで突進してくる迷惑な歩行者だろう)。長曾根町北の信号で湖岸道路に戻る際、水たまりに踏み込んだ右足が一気に浸水。あと85kmもあるのに…
 きょうの雲は、上空を北西から南東に押し寄せてくる。比良山系の上に濃い墨色の雲が出てくると、それが湖上をこちらに近づいてきて、自分のいる場所でも強い雨が降り始める。やがて雲の薄い部分が同様に近づいてきて空が少し明るくなり、小降りになる。この繰り返しで時間が過ぎていく。

・20km 雨はすこし小降りになる。相変わらずのハイペースで歩き続け、早くも右足の足首と前脛が痛くなりはじめる。少しペースダウンしないともたないという恐怖と、このペースでどこまで貯金できるか?という好奇心とが拮抗し、後者が若干上回る。20kmの看板の少し先で、10時にスタートした一般の部の最後尾とおぼしき二人連れを追い越す。その先、「あのベンチ」に私設エイドのようなものがあるあたりから、一般の部の選手をちらほら見かけるようになる。

・27km 去年と同じ公園でトイレタイム。ついでにヘッドランプと点滅灯を点灯し、懐中電灯を取り出す。公園を出てしばらくすると日没。このあたりから、グループで歩いている出場者をいくつも追い越すが、まだ渋滞というほどではなく、歩道も広いので、そのつど挨拶をする余裕がある。

・30km 時速5km/hで歩けば6時間を要するところ、5時間12分で通過。この時点で48分の貯金。ハイドレーションの水が、雨と高温のため、全部汗になって出てしまっている感じ。薄いソックスをはいているので、濡れていることがあまり気にならないという思わぬ効果。しかし足がふやけていることに変わりはない。

・32km 雨の第1CPに到着。去年と同じお嬢さんから「たねや」のお饅頭をいただく。「これが楽しみでびわ100に参加しています」は社交辞令ではなく、本当にありがたく思う。去年はパイプ椅子に座り込んで風邪薬を飲んだりしてタイムロスになってしまったので、ことしは立ったままバナナとお饅頭をいただいてすぐ出発。守山市内で待機している家族に電話し、あと4時間ぐらいで到着する旨を連絡。

・ 35km 前を歩く人がだんだん多くなってくる。歩道の狭い箇所で追い抜くときには後ろから声をかけ、注意深く右側を通るようにするが、そこがちょうど水たまりだったりして、なかなかしんどい。街灯がないので、ヘッドランプでよく見えない部分を懐中電灯で補いながら進む。

・ 40km 長命寺橋の先、おととしの第4回大会で広大な水たまりになっていた場所の状況を案じていたが、思ったほどではなくてほっとする。それでも水たまりの端をつたうようにして歩く箇所がいくつか。41km地点の第1エイドに立ち寄り、シューズカバーを外し、ロキソニン錠を服用し、さらにロキソニンテープを右足首に貼る。いただいた飴玉をしゃぶりながら、再び歩く。

・ 45km 湖岸道路の広い歩道をひたすら歩く。前の選手のバックパックで点滅する灯りがしだいに近づいてきて、追いつき、しばらく会話して追い越し、ふたたび真っ暗な中を歩くことの繰り返し。ときどき、真っ暗な道端に座り込んで休憩している選手がいてびっくりする(というか、ちょっと危ない)。

・ 50km 50キロ地点を示す看板がどこかに出ていたはずだが見あたらない。もう一度家族に電話し、あと30分ぐらいで着くので補給物資を持ってバス停で待っていてくれるよう依頼。

・ 53km スタートから9時間10分余で第2CPに到達。一昨年より40分以上、また昨年より30分以上早い。おにぎりとお味噌汁をおいしくいただく(このあたりまでは、まだ食欲があった)。ここでも座らずに出発し、バス停で待機していた家族から水と行動食の供給を受ける。ゼリー2本を一気飲み。夜間の寒さ対策として用意した着替えは、結局出番がなかった。

・55km 市街地の道路に戻ったので、信号待ちが気になる。待っているあいだはストレッチをしたり、行動食を頬張ったりするのだが、しだいに食欲も落ちてきて、後半用の行動食は大半を残してしまいそう。1kmあたり11分台をまだ維持しているので、60km地点で貯金が1時間あれば(つまり、12時間かかるべきところ11時間以内で到達していれば)、残り40kmに1分ずつ配分して40分(つまり、1kmあたり13分で歩いて)、残り20分で最後の1.4kmを歩ければ20時間を切れるかも、などと頭の中で計算する。

・60km 午前0時をすぎて播磨田町を右折し、県道42号線に入る。24時間営業のスーパーの前を通るが、駐車場にはほとんど車が停まっていない。大丈夫なのだろうか。

・65km 去年長逗留して失敗した喫茶店が道の反対側(進行方向右側)に見える。まもなく第3CP。温かいコーンスープをちびちび飲み干し、サラダパンは遠慮申し上げて早々に出発。どのCPやエイドも、今回は最小限の滞在時間で出発できている。

・70km 去年の第3CPが、やはり道の反対側に見える。あのときは恐ろしく寒かったのに、きょうは暑く、おまけに夜半をすぎてもパラパラと雨が降り続けるので、レインウェアを脱ぐ決断ができない。

・75km まったく食欲がない。ハイドレーションの水を飲むのもいやになってきたので、コンビニで温かいほうじ茶を買うが、それも半分も飲めない。湖岸道路に戻ると、長浜や彦根では感じなかった「水辺のにおい」を感じる。瀬田川畔の遊歩道に入り、懐中電灯を駆使してあるく。運営委員のみなさんがサイリウムを遊歩道の両側に配置してくださっているので、それが目印になってたいへん助かる。

・80km 遊歩道には信号がないので歩きやすいはずだが、真っ暗かつ水辺であることと、しばしば土手に上がらなければならないため、ペースが上がらないし、あまり楽しく感じない。ようやく第4CPの明かりを見つけてほっとする。飴玉を3ついただき、ふたたび歩きながらしゃぶる。飴玉で僅かでも糖分補給をと思うが、2ついただいたところでそれもいやになる。

・83km 去年と同じ場所でしじみ汁の差し入れ。陳腐な表現だが、五臓六腑に染み渡るおいしさ。思わず「しみわたる!」と口走ってしまう。スタートから15時間あまり、ここで初めて座る(立っているほうが楽)。

・85km 再度コンビニに立ち寄り、温かい緑茶を買うが、やはり半分も飲めない。固形物はもはや全く受け付けない。いつものことだが、近江大橋が見えているのになかなか近づいてこない。やっと近江大橋をくぐると、今度はプリンスホテルの高い建物がなかなか近づいてこない。そうこうするうち、対岸つまり東側の空がうっすらと明るんでくる。

・90km 明るくなりかけた第5CPに到着。スタッフが出してくださる熱い緑茶が驚くほどおいしい(「チャイと緑茶、それぞれホットとアイスがあります。何にしますか?」とわざわざ尋ねてくださって、ありがたいやら恐縮するやら)。持参したお菓子とドライフルーツを無理やり流し込み、ロキソニンをもう1錠服用。ついでにテープも貼る。ここでようやくレインウェアの上をバックパックにしまう(涼しい!)。まだ貯金が1時間あるので、残り11.2kmを1kmあたり15分のスローペースで歩いても、なんとか19時間台でゴールできると皮算用。

・ 95km 5月の「ぐんま100」でも残り10キロで足が止まってしまったが、今回も1kmあたり13分台までペースが落ちてくる。それでも、途中から生活道路に入って歩きやすくなったことで、ふたたび11分台を回復し、これなら19時間台の前半もいけるかもと考える。この静かな生活道路は、おそらく旧道なのだろうが、地元の人が数多く歩いていて、通りすがりに挨拶をすると返事をしてくださったり、応援してくださったりするのがたいへんありがたい。

・100km 最後の難所である「歩道橋」をどうにかクリアして、幹線道路に戻ってからの長いこと。途中の駐車場で、スタート直後に応援してくださった「全員完歩」さんが応援してくださるのを力に、残り1.8キロをなんとか進む。最後に1人抜かされたものの、19時間台前半でなんとかゴール地点に到着。

 しかしその後がいけない。加圧タイツを脱ごうと更衣所で前かがみになった瞬間に貧血のような症状(貧血ではなく低血糖か?しかし空腹感はまったくない)と腹筋の痙攣が爆発し、這うようにベンチへ移動して失神。足をあげ、頭に血が戻ってきて、ようやく意識が回復したものの、世界が暗く見え、吐き気が治まらない。ハイドレーションに残った紅茶を棄てるためにトイレに移動するが、袋の中の紅茶の色が血液に見えていっそう気分が悪くなり、トイレで冷や汗が出て動けなくなる。

(③感想・分析編へ続く)

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