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第106回深夜句会(3/23) [俳句]

(選句用紙から)

瀬の中の小さき淵や春の水

まだ上流の、歩いたり走ったりしている川なのだろうが、そのたぎる瀬のなかの、ある一部分が、そこだけ傾斜が緩いのか、水が比較的静かでなめらかに移ろっている。それを「瀬のなかの淵」と切り取ってきたところにこの句の眼目がある。またその「小さき淵」に移ろっている水の色や、映り込んでいる空の色なども想像されて、率直にいい句だなあと思う。


夜を徹して読了したる辛夷かな

季題「辛夷」で春。手紙とか訴状だと、さすがに夜を徹して読むほど長くはないだろうから、まあ小説であろうか。明日の用事に差し支えるから途中でやめて寝なくちゃと思いながら、とうとう朝までかかって全部読んでしまった。そこで寝床にもぐりこむのか、それとも支度して出かけるのかわからないが、そうしている視線の先に、ふと辛夷の白い花がちらちらしているのが見えた。朝の光を受けて白く揺れている辛夷の花が、さきほどまで夜を徹して読んでいたものの内容との差において、視覚的にそうである以上に心理的にまぶしく感じられた。
「読了したる」の後で切れるのだけど、下五が「かな」で終わっているので、やや落ち着かない。他にうまい言い方があるのかもしれない。


(句帳から)

うららかや電車並走してゐたる
入園式のご案内貼り冷蔵庫
シースルーエレベーターの日永かな

 
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