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柚木麻子『本屋さんのダイアナ』(新潮社、2016) [本と雑誌]

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解説で紹介されていた有名な少女小説との対比を意識して読むのが本筋なのかもしれないが、そういう本歌取り的な楽しみ方に限定しなくても、完全に独立した作品として十分楽しめる(むろん解説にも、そのように書いてあるが)。

ひとつは、この物語を成り立たせている重要なポイントである「見かけ上同じことがらについて、AさんとBさんの受け止め方が正反対」という現象について、読者に違和感なく了解させる筆力が、エンターテインメントとして十分楽しめる点(この点に関して付言すれば、描写がとても映像的で、ストーリーに直接関係ない細部まで描きこまれていて、ちょっとテレビドラマを思わせる)。

もうひとつは、登場人物が年齢ととともにどんな本(実在の本と物語中の架空の本が登場するが、ここでは実在の本)を読んでいるかが示され、それが登場人物を修飾する記号として有効に機能している点。また、この点に関連して、主要な登場人物の全員が、本や図書館、本屋さんを愛している点。

この作家を読むのはこれが初めてなのだけど(書店の店頭で『早稲女、女、男』と迷ってこちらを選んだのだけど)、なかなか面白かったので他の作品を読んでみたい。

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