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番町句会(9/9) [俳句]

きょうのお題は「太刀魚」「葛の花」。このところ毎回、締切ぎりぎりに到着しているので、席について数分以内に句を詠んで提出するのは、なかなか体に悪い。

(選句用紙から)

家墓は畑の中に韮の花

季題「韮の花」で秋。白く群れ咲く花ですね。
畑の一角を切り取るように小さな墓があって、そこが一家一族の墓地になっている。ここでの畑は、北海道の広大な畑よりは、たとえば南信濃あたりの、山の上まで段々に耕されている中に家が点々とあるような、小さな畑の一角なのだろう。で、その小さな墓、小さな畑、小さな家のある風景のなかに、いま韮の花が白く咲いている。

花葛や初心(うぶ)は濃ゆきを慕ふもの

こういう変化球は楽しい。季題「葛の花」で秋。ちなみに葛は秋の七草でもある。
葛の花は、竜が頭をもたげるようにして下から咲いていくのだが、花の色は一様でなく、淡い花片(あれは花片なのか?)と濃い花片がみっしり集まって咲いている。そこで目だたしいのは、当然に濃い部分であって、葛の花といったらまずその濃いところに目が行くのだけど、淡い部分、内側の黄色い部分も含めて全体のすがたかたちこそが葛の花なのである。

…と書くとなんだか当たり前だが、この句のもう一つの意図はむろん、「初心」の男子が「濃ゆき」女子を慕ってしまうというところにあって、うふふなのである。それがあまりに前景化するとうるさい俳句になってしまうところ、主調はあくまでも葛の花を愛でる話なのであって、そのコントロールはとても難しい。私のような素人がやれば、ベタベタになってしまうか、遠すぎてなんだかわからない俳句になってしまいそう。


(句帳から)

車道から歩道へ溢れ秋出水
いやでもと言いかけてやめ秋暑し
秋麗や電車カーブを曲がり終へ

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