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第82回深夜句会(2/19) [俳句]

(清記用紙から)

如月の芝生に空のベンチかな
季題「如月」で春(陰暦二月)。公園であろうか、春まだ浅い広い芝生のまんなかにベンチが置かれていて、しかもそのベンチには誰も座っていない。「空のベンチ」の寒々しさが、寒さと温かさが入り交じった早春の空気とよく響きあっている。これが「霜月の芝生に空のベンチ」だったら、ああ寒いんですね、で終りだし、「水無月の芝生に空のベンチ」だったら、雨でも降っているんですか、となって、どちらも季節感がうまく伝わってこない。

春寒し川潤ひて川濁る
季題「春寒」で春。「川潤ひて」と来るので、ああなるほど、それで?と思わせておいて、しかし「川濁る」というオチの付けかたが意表をついている。しかし雪解け水が流れていく早春の川って事実こうだよね、という実感を喚起するわけで、技巧だけに陥らない、眼前の現実をよく見た句でもある。

(句帳から)

春浅き靴屋の奥に日の差して
鉄塔がぽんぽんぽんと冬の山
海苔桶のにほひ潮溜りのにほひ

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