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第75回深夜句会(7/10) [俳句]

台風接近中だから会場の喫茶店はガラガラだろうと思っていたのだけど、意外にもけっこう混んでいる。

(選句用紙から)

緑蔭や幹に抱きつく人のゐて

季題「緑蔭」で夏。
幹に抱きつくって、昼間から酔っぱらっているのだろうか、代々木公園で昼の宴会?そうすると、これまで「緑蔭」と結び付けて考えられてきた世界とはだいぶ違うけど、それも緑蔭の当世風のあり方として面白いな…と思って採ったのだけど、感想戦でたずねてみると、「それは、樹木にある種の癒しを求めて、その幹に抱きついて(ハグして)いるのだ」との説明。あぁそういうことだったのか。白神山地のブナの木とか屋久杉とかの風景を思い起こすべきだったわけですね。高校生のころから、酔っぱらって電柱に抱きついた同級生とか自転車で電柱に突っ込んだとか、そんな話ばかりが身の回りにあったので…で、自分のような解釈の余地がないようにするには、「抱きつく」でなければどんな表現が可能なのか。とっさに思いつかないけど。

くちなしの朽ちたるままに雨上がり

季題「山梔子の花」で夏。くちなしの「花」とは明記されていないけど、朽ちているのは花だったものの残骸だろうから、黙示的に「くちなしの花」としても差し支えなかろう。
雨が降っていて、くちなしの木にも注がれている。白かった花もだいぶ時間が経って、薄茶色に汚れて朽ちかけているが、その上にも同じように雨がふり続く、やがて雨があがると、枝葉の緑はいっそう緑に輝くのだけど、朽ちた花はあいかわらずの姿をしている。もしかすると、既に地面に落ちて「朽ちて」いるのかもしれない。こう書くと説明くさくていけないのだけど、前提にある「美しい白と甘いにほひ」とやかく言わずに、その変わり果てた姿を詠んでいるところが面白いのだと思う。「くち」なしの「くち」たるままに、の頭韻も過不足ない。

(句帳から)

ががんぼのへなちよこぶりの愉しけれ
梅雨寒や廊下の奥の非常灯
サンダルを脱いで裸足をその上に

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