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千代田フィルハーモニー管弦楽団 第57回定期演奏会(4/7) [音楽]

忙中閑あり。自分にとって2年ぶりの紀尾井ホールは、2年ぶりの千代田フィル定期演奏会。前回は震災後の非常時だったことを思い出す。

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吉田秀和さんは『私の好きな曲』のなかでドボルザークの8番について「ボヘミアのゆるやかな丘陵と河とをもち、薄い明るい緑とセピア色をした大気にとりまかれたおだやかな平原のように、やさしく私たちに語りかけ、親しみ深い話をする音楽である。」と書いておられるけれど、その趣旨を汲んだように、今日のプログラムは、ドボルザークの序曲「自然の中で」、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲、そしてドボルザークの8番という東ヨーロッパのカントリー色濃厚で、これは聴きにいかないと。

アマチュアオーケストラの演奏会でチャイコフスキーの曲を聴くと、管楽器のソロなんかで演奏者と聴衆がいっしょにドキドキハラハラできるのが楽しいことは以前にも書いたのだけど、今日のヴァイオリン協奏曲を聴いていると、CDではよくわからないこととして、単なるソロではなく、ソリストとのからみ(とは言わないか)が随所にあるのですね。これはソリストに迷惑かけられない分だけ、一人で吹くより一層大変だろうなと思うのだが、実際管楽器大変そう。7小節目ぐらいでフルート・オーボエ・クラリネット・ファゴットが揃って入ってくるところからもう心配で目が離せない(失礼)。しかし、どうなることかと思わせつつ、ソリストの勢いに押されるようにこのオーケストラらしい前向きなスタイルが徐々に現れてきて、最後は大盛り上がりのうちに終了。

それに比べるとドボルザーク8番のほうは伸び伸び演奏されていて、第1楽章序奏のあとフルートで吹かれる独特のリズムをもったテーマが、終楽章まで形をかえながらずっとつながっていく(たとえば、第4楽章でチェロが弾く主題とか)のが楽しい。今度は曲自体にすっと入り込んで、パート間の旋律の受け渡しを目で追いながら曲を楽しむことができる。フルートのトップを吹いておられる方はなんとなく顔に見覚えがあって、以前にも聴いたことがある(カザルスホールで聴いた、メンデルスゾーンの「宗教改革」終楽章冒頭のソロが印象に残っている)が、いつも堅実な音を出される方だなあと思う。他方で今日は、ドボルザークでクラリネットを吹かれている方、よく楽器を歌わせていて、こちらが口ずさみたくなる演奏で印象に残る。4楽章残り2分半ぐらいから、フィナーレに突入する前に弦がpppで刻んでいる中で鳥が鳴いているようなソロは特にいい感じ。あんなふうに吹けたら楽しいだろうなあ。

さてアンコールは何だろう。こういうプログラムだとスラブ舞曲をよく聞くけど、このオーケストラがスラブ舞曲を演奏するなら、何番がいいだろうか…穏やかにOp.72-6なんかどうだろう…などと考えていたら、チャイコフスキーでちょっとほの暗い感じに終了。これもいいですね。

※吉田秀和『私の好きな曲』333頁(2007,筑摩書房)。

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