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第56回深夜句会(12/20) [俳句]

たぶん今年最後の句会。相変わらずのドタバタを経て句会場へ。

(選句用紙から)

雪の田に爪立ててゐるショベルカー

爪立てて「ゐる」のだから、現に掘り返しているのだろうと思うが、あるいは爪を立てた「まま」止まっているのだろうか。前者なら、雪の白さの中で掘り返した土の黒さの面白さ、後者ならその不思議な姿勢の面白さを感じるところだが、しかし田んぼにショベルカーとはどんな状況なのだろう。冬耕ならトラクターだろうし、冬を前に田んぼをつぶして何かを建てようと工事を始めたが、工事半ばで雪が降り始めてしまったのだろうか。ちょっと不思議な風景。

白湯飲んで食ふ饅頭や日短

お茶飲んで食う、のでは俳句にならない。白湯を飲んで食うのだから、お茶が入れられないような状況(病院とか)か、あるいはお茶も入れないものぐさな男の一人暮らしだろうか。石川啄木の歌にもあったが、短日という季題のもつある側面-あわただしい中を追い立てられて、何もかもままならず、かといってそれに取り残されれば取り残されたで疎外感を味わうような、少々やさぐれたような側面-を、よくいい得ている。

着膨れてキムチ商ふ嫗かな

冬のソウルの風景なのだろうけど、個人的には中央アジアの国々で生き延びている朝鮮系の人々が極寒のバザールでキムチを商っている風景を思う。タシケントのチョルスー・バザールとか、旧社会主義国の市場だけあって、コンクリートの体育館みたいな独特の建物は恐ろしく寒いわけで。
それはともかくも、句評では「女かな」でいいんじゃないの、という意見も。「紫色のダウンジャケット着てるような感じ」との声も。いずれにしても、「着膨れて」と叙せば叙すほど足元の寒さが伝わってくるという佳句。

(句帳から)

倫敦の素人下宿漱石忌
冬帽のオレンジ色の裏地かな→「冬帽に」
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