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第53回深夜句会(9/20) [俳句]

21時締切に間に合うよう急ぎ足で歩いていると,何やら人だかりが。句会場と通りをはさんで反対側にあるアップルストアに,あす発売のiPhone5を求めて徹夜の行列ができている。いまの時代,徹夜してでもほしいものがあるなんて羨ましいともいえる。

(選句用紙から)

西の空一面があを稲光

季題「稲光」で秋。
雷鳴を伴う「雷」は夏の季題,音もなく空が光っている「稲妻」「稲光」は秋の季題とされているが,「稲」妻または「稲」光の字面どおり,稲の実りと結びつけて捉えられてきたから,当然ともいえる。そこで掲句だが,西の空一面が稲光で青く(青白く?)光っている。西の空一面が,ときたら,夕焼けか?黒い雲か?と読者が先読みするところへ「一面があを」というシンプルで力強い言い切りが飛んでくるのが心地よい。しかもその「あを」は青空じゃなくて稲光の青い光だというのだ。橋本多佳子の句に「いなびかり北よりすれば北を見る」があって,この多佳子句の場合には北でなければならないのだろうけど,掲句ではそうした含意よりも,実際の西の空,ということだろう。

サーファーや九月の波に飛ばさるる

合評では,「サーファーや九月の波に飛ばされて」がよいか,いゃ「サーファーの九月の波に飛ばさるる」がいい,と賑やかだったが,季題「九月」がいいなあ。ちょっとユーミンの世界ですね,という感想も。「五月」では陳腐だし「二月」では痛いだけ。この間までうじゃうじゃ人がいた海岸に誰もいない,そんな中で大きな波に挑み,そして放り出されるサーファーの様子がよく見える。これは落ちるとか転倒するとかでなく,足払いをくったように「飛ばされる」と叙したところに作者の観察眼がある。ところでサーフィンは季題じゃないことになっているのだけど,ボート,ヨットや舟遊びとの並びでいえばサーフィンも夏の季題でおかしくない。

(句帳から)

金糸草村ことごとく水の音
秋涼しポテトサラダを混ぜながら
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