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池袋句会(11/2) [俳句]

(選句用紙から)

鎮むるに仏手柑の名を奉ぜしか

季題「仏手柑」で冬。手の指のような柑橘で,むいて食べるものではないが,かおりが強く,中の白い綿のところを砂糖漬けにして食べるのだという。
さてこの実には仏手柑つまり仏様の手というありがたい名前がついていて,茶席なんかには欠かせないものとして珍重されるそうなのだが,作者はこれを,よく見ればまがまがしい形ととらえる。まだその名がつく前,これを見た人は,なんだかちょっと不気味なこの果実が禍いをもたらなさいように,これを鎮めようとして,仏手柑というありがたい名前を奉ったのではないだろうか…
という組み立てのところは理屈なのだけれど,「仏手柑だからこう」というお約束から一歩引いたところで,仏手柑と名付けられたこの果実を冷静によく見てみようという姿勢が感じられてよい。

仏手柑や塔頭へ磴ぎくしやくと

山全体が寺院であるような大きなお寺の,その中の小さなお寺へ石段あるいは石坂が続いているのだが,当世風にきちんと測量してどんと作った舗装道路ではないからして,その勾配や幅や何やかやは,どことなくぎくしゃくしている。そんな磴の脇であろうか,仏手柑の木があって,枝からぬっと突き出るように仏手柑の実がこちらに向いている。仏手柑は寒さに弱いということなので,南国のお寺ということになるであろうか。

(句帳から)

関節に似て仏手柑の指曲がる
冬めいて脚立の上の菜っ葉服
セルロイドの紅葉を吊って露店かな

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