スティーブ・ジョブズから学んだこと(10/7) [皿回し]
皿回し大学院のゼミで,開講(半期ごとに入学者がいるので,そのつど開講する)にあたってスピーチを依頼される。
今まで自分なりに考えてきたことを整理する好機だと思ったので,「Steve Jobsから学んだこと」というタイトルで20分ほどのプレゼンをする。
「Steve Jobsから学んだこと」
1.開講にあたって
これまでのオリエンテーションやゼミ合宿で,折に触れて「これから論文を書く方のための参考になるような,ちょっとしたポイント」をお伝えしてきた。たとえば,
・法律論文の出典表示の重要性について(1月)
・修士論文で失敗しがちな7つのポイント(4月)
・PDFを活用した文書管理の方法について(4月)
・租税法の要件事実と「立法趣旨」の扱いかた(9月)
など。
しかし,きょうはもう少し手前の,「なぜ論文を書くのか」という話から説き起こして,「そのためにはどのように論文を書いていくのがよいか」という話をしたい。
2.1984年前後のJobs
・2000年以降にJobsを知った者にとっては,彼は単に「便利な道具を開発した会社のリーダー」
・Jobsのすごさは,単なる開発者ではないこと
・AppleⅡ,Lisa,Macintoshはどのような理念で開発されたか
windowやGUI,WYSIWYGはJobsの発明ではないという批判は事実-しかしパロアルト研究所等々で見つけたある一点に強烈に着目し,実現しようとしただけでも十分な価値
・ふたりのSteve
3.Macintoshのデビュー
・デビューCMのコピー
On January 24th, Apple Computer will introduce Macintosh. And you'll see why 1984 won't be like "1984".
・1984,ジョージ・オーウェル,ビッグブラザー
・「こういう石(半導体)があったから計算機を作った」ではなく,「思考をアシストするための道具」という明瞭な理念や志のもとで計算機を作った(Lisaでは,まだ現実が理念に追いつかなかった)
・後にknowledge navigatorと呼ばれる考え方
・世界を「1984」のようにしないという信念(人を管理するための道具にしない)
・ビッグ・ブルー(IBM)に対する強烈な対抗意識(そのIBMは,既にPCから撤退しているが…)
4.Jobsから学んだこと
・ビジョン,信念,志
-遠くまで見通すことのできる力,見通そうとする努力
-「そうあるべき理想」に向けて製品をつくっていく(演繹的)
・組織をまとめ,動かしていく力
-ビジョンに人を巻き込み,組織で取り組んでいく
-現実ゆがみ空間(Reality Distortion Field)
5.論文を書く前に
・自分のテーマについては,素朴な「志」があるはず
・最初は「思い込み」でもよい
-「これはおかしい」「こうすべきだ」
-「なぜこうなっているのだろう」
・それを論文に育てていけばよい
・論文に「最短距離」はない
-何がどこで役に立つかわからない
-日常のあらゆることが論文の材料
-論文をテクニックで考えたり,楽に書こうとしてはいけない
6.ロジックシート作成のすすめ
・テーマ(○○が○○であることについて)
・テーマについて,現時点での問題意識・主張
・判例や裁判例の状況
-主張の援用に使えそうな判例・判旨・少数意見など
-納得できない判例とその理由
・先行研究の状況
-有力説,少数説,その他注意すべきもの
7.論文の大まかな流れ(ストーリー)
・はじめに(このテーマを選んだ理由)
・現行制度について
-立法趣旨,歴史的経緯,社会的背景
-他の法令や制度,社会慣行,社会状況との整合
-諸外国の状況
・現行制度の問題点とその分析
・判例研究(自分の仮説の裏付けとしての判例研究)
・結論および提言
・むすび
-なお残る課題
-今後の研究の方向性など
8.まとめ
・ふたたびJobsのことば
"Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.
So, you have to trust that the dots will somehow connect in your future. "
(2005年6月,スタンフォード大学卒業式でのスピーチから)
修士課程の院生にとっての教訓として意訳すれば-将来役立ちそうなことをあらかじめ選んで,効率よくやろうとしても無理。関心のあることすべてに没頭することで,結果的に研究がよりまともなものになっていくという教訓としてとらえるべき。
今まで自分なりに考えてきたことを整理する好機だと思ったので,「Steve Jobsから学んだこと」というタイトルで20分ほどのプレゼンをする。
「Steve Jobsから学んだこと」
1.開講にあたって
これまでのオリエンテーションやゼミ合宿で,折に触れて「これから論文を書く方のための参考になるような,ちょっとしたポイント」をお伝えしてきた。たとえば,
・法律論文の出典表示の重要性について(1月)
・修士論文で失敗しがちな7つのポイント(4月)
・PDFを活用した文書管理の方法について(4月)
・租税法の要件事実と「立法趣旨」の扱いかた(9月)
など。
しかし,きょうはもう少し手前の,「なぜ論文を書くのか」という話から説き起こして,「そのためにはどのように論文を書いていくのがよいか」という話をしたい。
2.1984年前後のJobs
・2000年以降にJobsを知った者にとっては,彼は単に「便利な道具を開発した会社のリーダー」
・Jobsのすごさは,単なる開発者ではないこと
・AppleⅡ,Lisa,Macintoshはどのような理念で開発されたか
windowやGUI,WYSIWYGはJobsの発明ではないという批判は事実-しかしパロアルト研究所等々で見つけたある一点に強烈に着目し,実現しようとしただけでも十分な価値
・ふたりのSteve
3.Macintoshのデビュー
・デビューCMのコピー
On January 24th, Apple Computer will introduce Macintosh. And you'll see why 1984 won't be like "1984".
・1984,ジョージ・オーウェル,ビッグブラザー
・「こういう石(半導体)があったから計算機を作った」ではなく,「思考をアシストするための道具」という明瞭な理念や志のもとで計算機を作った(Lisaでは,まだ現実が理念に追いつかなかった)
・後にknowledge navigatorと呼ばれる考え方
・世界を「1984」のようにしないという信念(人を管理するための道具にしない)
・ビッグ・ブルー(IBM)に対する強烈な対抗意識(そのIBMは,既にPCから撤退しているが…)
4.Jobsから学んだこと
・ビジョン,信念,志
-遠くまで見通すことのできる力,見通そうとする努力
-「そうあるべき理想」に向けて製品をつくっていく(演繹的)
・組織をまとめ,動かしていく力
-ビジョンに人を巻き込み,組織で取り組んでいく
-現実ゆがみ空間(Reality Distortion Field)
5.論文を書く前に
・自分のテーマについては,素朴な「志」があるはず
・最初は「思い込み」でもよい
-「これはおかしい」「こうすべきだ」
-「なぜこうなっているのだろう」
・それを論文に育てていけばよい
・論文に「最短距離」はない
-何がどこで役に立つかわからない
-日常のあらゆることが論文の材料
-論文をテクニックで考えたり,楽に書こうとしてはいけない
6.ロジックシート作成のすすめ
・テーマ(○○が○○であることについて)
・テーマについて,現時点での問題意識・主張
・判例や裁判例の状況
-主張の援用に使えそうな判例・判旨・少数意見など
-納得できない判例とその理由
・先行研究の状況
-有力説,少数説,その他注意すべきもの
7.論文の大まかな流れ(ストーリー)
・はじめに(このテーマを選んだ理由)
・現行制度について
-立法趣旨,歴史的経緯,社会的背景
-他の法令や制度,社会慣行,社会状況との整合
-諸外国の状況
・現行制度の問題点とその分析
・判例研究(自分の仮説の裏付けとしての判例研究)
・結論および提言
・むすび
-なお残る課題
-今後の研究の方向性など
8.まとめ
・ふたたびJobsのことば
"Again, you can't connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards.
So, you have to trust that the dots will somehow connect in your future. "
(2005年6月,スタンフォード大学卒業式でのスピーチから)
修士課程の院生にとっての教訓として意訳すれば-将来役立ちそうなことをあらかじめ選んで,効率よくやろうとしても無理。関心のあることすべてに没頭することで,結果的に研究がよりまともなものになっていくという教訓としてとらえるべき。
2011-10-14 00:38
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