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全交響曲連続演奏会 [音楽]

大晦日に一日かけて,ベートーヴェンの交響曲を1番から9番まで全部演奏するコンサート。

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東京文化会館の3階席左端から見下ろすと,大きなステージの中央に,小編成のオーケストラがちょこんと載っているのが見える。1930年生まれのマゼールは,私がクラシックを聴き始めた中学生のころから既に知られた名前だったが,ナマで見るのは始めて。ジャケット(というのかな?)もパンツもえらく細身でぴたぴたの仕立てで,若く見える。少し速めのテンポと,節目節目でタメをつくって,歌舞伎役者が見栄を切るようにティンパニを際立たせる指揮が目を引く。

1番(午後1時)
弦楽の序奏短かき十二月

2番(1時半)ナマで2番を聴くのはたぶん初めて。
短日のとちり通しのホルンかな

4番(3時10分)
ピチカートくぐもりつつも冬の午後

3番(3時50分)いまさらな感想だが,2番のあとに3番を聴くと,その間の巨大な飛躍を実感する。
オーボエが四本もゐて冬温し

6番(5時50分)
たとふれば連なる丘の冬の雷

5番(6時30分)
パッセージつぎつぎ渡し暮早し

8番(8時15分)
冬日和ティンパニずつと鳴つてをる

7番(8時45分)嵐のような7番。終楽章は驚くほど速く,管と弦あわせて100人近い大編成なのに,アンサンブルが全く乱れない。
行く年のリズムとリズム追ひあへる

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9番(10時30分)ステージが倍近くに拡張され,もはや1階席の面積とほとんど変わらない。合唱やソリストを除いて,オーケストラだけで101人。1番では50人ほどだったことを考えると倍増だ。自分の位置から見ると,上手側の一番遠くにいるコントラバス(12人もいる!)と下手側の一番近くにいる第一バイオリンの最後尾は25メートルぐらい離れているので,視覚的にはぴったり揃って弾いているのだけど,音が僅かにずれて耳に届く。3・4楽章はテンポを落としぎみだったのでその違和感も目立たなかったのはありがたい。低弦が分厚く,木管も倍いるので,第1楽章の冒頭とか終楽章のコーダでの爆発の威力はすさまじい。スタンディングオベーションが長く続く。さすがのマゼールも疲労の色は隠せず,背中が丸くなっている。
タクトから楽湧きつづけ去年今年

終電に間に合わないこともないのだけど,ちょっと余韻に浸って帰りたかったので湯島のワインバー「マ・シェリ」で一杯(といいつつ,ずいぶんいろんなお酒をいただいたような…)いただき,湯島天神に参詣して帰る。

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小沢 和声

お久しぶりです。
ひょっとしたら岩城さんが始めた音楽会ですか。
それぞれに句を付けられたのは、とても面白いですね。特に7番にはブラヴォーです。
私がこの音楽会に行く事はまずないでしょうから、雰囲気が楽しめて嬉しいです。2曲や3曲の演奏会でも、後の曲の方が編成が大きくなる傾向が強いように感じますが、今回の場合はもしかしたらベートーヴェン自身が歩んだ時代をそのまま映しているのかも知れません。
できれば今度の土曜日に句会に参加したいと思っています。お会いできれば良いのですが。
by 小沢 和声 (2011-01-04 00:23) 

やぶ

和声さん,こんばんは&コメントありがとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

いやーまとめて聞くと,やはり聞き応えがあります(当り前)。
特に2番と3番の間で,音楽がサロンから大観衆の前に出てきたような飛躍がありますね。そのぐらい3番って,何もかもが新しくて,同時代で聴いていた人はぶったまげたのではないかと(笑)。

句会でなかなかお目にかかれず残念です。私もなかなか行けないので,今年は1度ぐらい,どこかの句会でお目にかかるのを目標にしましょう。

ではまた!

by やぶ (2011-01-10 01:04) 

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