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アンドルー・マンゼ バロック・ヴァイオリン・リサイタル [音楽]

いつも格安でリサイタルを聴かせてくれる(格安ゆえにチケットが取れなかったりもするが)武蔵野文化事業団から郵送されてくる告知チラシは、毎度そのコピーが笑わせてくれる。どこかのオペラを売り出すときには
「なんでこんな安く売るんだ!招聘元の社長が絶叫!」
という、およそお上品なクラシックらしくない(笑)コピーだった。

きょうのリサイタルは、なぜか発売当日に完売しなかったらしく、追加で告知されたのだが、そのコピーがふるっていて、

音楽を心から愛する者よ!ここには真の芸術がある
武蔵野が絶対の自信をもってお勧めします
『マンゼのリサイタル、昔行ったねえ。あれは本当に素晴らしかった。』と
いつの日か話せる大事な大事な思い出となるような
心からの感動をお約束します
”バロックのステファン・グラッペリ”
グラモフォン賞、ドイツ・シャルプラッテン賞受賞
ディアパソン賞を2度受賞し、グラミー賞にノミネート
アンドルー・マンゼ バロック・ヴァイオリン・リサイタル
リチャード・エガー(チェンバロ)
東京公演は6千円、武蔵野なら4千円

これだけ大上段にふりかぶって外したらどうするんだろうと思わないでもなかったが、行ってみてどうだったかというと…これが本当にすばらしかった。
耳管がつまり気味の私にとって、もともとヴァイオリンの音域は高すぎて、快適と感じられることはあまりない。特に、線の細い高音やギスギスした音を聴かされるとものすごく疲れる。そんななかで安心して聴ける音を出してくれるのは、サイモン・スタンデイジのバロック・ヴァイオリンだった。

きょうのアンドルー・マンゼは、かなりそれに近い、やわらかくしっとりした音を出してくれた。それもそのはず、プログラムを読んでいたら「ヴァイオリンをサイモン・スタンデイジに学び、」とあるではないか。残響の長いホールなので、ヴァイオリンから出た音がホールを漂っている感じが心地よい。チェンバロを弾くリチャード・エガーとのコンビネーションも抜群で、まあこれは、ピノックの後を継いでイングリッシュ・コンサートの芸術監督を務めたぐらいだから当然なんだろうけど。

普通は絶対行けない平日のチケットを買って、休暇とって会社からかけつけた(ん?)甲斐があったというもの。バッハの「ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ」のCDを買ってサインまでもらってしまった。

J.S.バッハ  ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ BWV1015
A.コレルリ ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタイ短調 Op.5-7
J.S.バッハ 平均律クラヴィーア曲集第1巻より プレリュードとフーガ変ホ短調 BWV853
G.A.パンドルフィ ラ・チェスタOp.3-2、ラ・サッバティーナOp.3-6
H.I.F.ビーバー ロザリオのソナタ第1番「受胎告知」
J.S.バッハ 半音階的幻想曲とフーガニ短調 BWV903
H.I.F.ビーバー ソナタ第3番(『8つのソナタ』より)
(アンコール)
G.F.ヘンデル ソナタヘ長調より「アダージョ」
J.S.バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第6番ト長調BWV1019より「アレグロ」

(2008.6.10 武蔵野市民文化会館小ホール)

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コメント 2

和声

良かったですね。
こういう演奏会を聴けた満足感が伝わってくる文章でした。
心の余裕がないと、なかなか半休をとってまで行けませんね。
半年も前から高いチケットを買っていても、当日抜き差しならない仕事で行けなかったという経験もありますから、一緒に喜びたい気持です。
バロック・ヴァイオリンとチェンバロというのは私の好みでもありますから、いつの日か私も聴いて見たいと思います。
息が合った二人の演奏というのが何より良いですね。
by 和声 (2008-06-12 12:28) 

やぶ

和声さん、コメントありがとうございます。

いや〜、いいリサイタルでした。本当に。
今まで全然聴いたことがなかったんですが、H.I.F.ビーバーという作曲家(バッハより40年ぐらい前の人みたいです)の「ロザリオのソナタ」「ソナタ」の2曲を演奏したんですが、即興性の強い曲で、聴いていて面白かったです。バロック・ヴァイオリンなのにジプシーヴァイオリンみたいな感じがしたりして、心躍るひとときでした。
by やぶ (2008-06-12 23:28) 

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