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狩人と犬、最後の旅(ニコラス・ヴァニエ監督 2004年仏・独・瑞・加・伊合作) [映画]

邦題疑問。せいぜい「最後の罠猟師,その犬たち」ぐらいか。

俳句を詠む人間から見ると、この生活は人事以外のあらゆる季題の宝庫に見える。季節感がありあまっているところに暮らしたとき,それを表出する意欲が増進するか減退するかは不明だが。水まわりの季題だけでも
・春 雪解,残雪,薄氷
・夏 泉,滝,ボート(もっとも,ここではボートは季題とはいえないが)
・秋 秋出水,野分,水澄む
・冬 雪嵐,氷,橇
とか。

西部劇の世界そのままの「都会」(ドーソン)にも実は,罠猟師を応援してくれる商店主がいるというあたりが面白い。ちなみにドーソンは都会とはいいながら人口1,251人,世帯数は540世帯しかないという(2001年国勢調査。Wikipediaによる)。

また,トリビアルな関心としては
・水上飛行機
・ハスキーの青い瞳の起源
・日ごろ見かけるハスキーより脚が細く長い(=背が高い)
・振り分け荷物を胴にくくりつけて歩くハスキー
・罠道ということばの意味
など,もう少し考えてみたい。

もうひとつの関心事としては,映画に出てくる先住民の役割がある。
まずネブラスカ。彼女のノーマンとのかかわり方は,詳しく説明されていないが,どのようなものか。また「お酒はだめよ」のせりふの意図は?リアルワールドでは,アルコール依存の先住民がよく登場するが,それとの関係は?
最後に出てくる毛皮仲買人の青年。毛皮の値段は高くなっているかという話が繰り返し出てくるが,ストーリー全体のなかでこの話がどういう役割を果たしているのか,よくわからない(文明不信?)。また,飲み屋でノーマンとともに酒を飲む彼の役割も。

ノーマンがどういう経緯で罠猟師になったかは明らかにされていないが,まったく無関係に連想したのは,いまもアメリカ西海岸の山中にひとりで住むという多数のベトナム帰還兵のこと。

全編を通じて最も印象に残ったのは,酷寒の大地にともるちいさな灯のオレンジ色の暖かさだった。

 モノクロの凍土のはての寒燈 薮柑子
 山脈の深く深くに寒燈      薮柑子


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